表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/36

白テイマーさん走る


 海底を走り抜け、邪魔な岩を飛び越え、私は呪文を詠唱する。

 砂が大粒なおかげで足を取られることもなく、ゲームだからなのか素足でも痛みは感じないから、私自身びっくりするくらい軽快に体を動かすことができた。

 もちろん運動不足が祟って、さっきから心臓が少し痛いけれど、それもまだそこまで気にするほどでもなかった。


「ウインド……カッター……!!」


 烏賊は場所を移動することはなく、その場で足を伸ばして攻撃を行ってきている。

 だからこそ、捕まらないように私はその周りをぐるぐると回りながら、魔法を放っていた。


「MPが切れそう……」


 まだ私のレベルは5。

 ここまで魔法を連発して何とかなるほどのMPは持ち合わせているはずがない。けれど、ここで魔法が切れたらいよいよジリ貧だろう。


「……仕方ない」


 狼のHPも多少減ってきているようだし、流石にこれ以上こうして戦っているのは無理があるだろう。

 かといって、ここで逃げるのはできるならば避けたかった。


「……戻ってきて!!」


 だから、私は少し大きな岩の陰へと走り抜け、狼を呼ぶ。

 どうやら烏賊はこちらに向かってきてはいるが、そのペースは遅かった。

 その隙に私はアイテム欄を開くと、MPポーションとHPポーションを取り出し、MPポーションは自分に、HPポーションは狼へと使用する。

 回復量は50。高いわけではないが、今の私のレベルからしたら十分だった。


「……さて、ここからどうやって倒せばいいかな」


 今はそこまでの時間はないけれど、それでも何か打開策を見つけないとポーションを全て使い切る羽目になりそうだと、そう考えた私はウィンドウを流し見して、何かないかを探す。


「……そういえば、これ、どうだろう?」


 そうして私が見つけたのは一つの技だった。

 試し打ちを一回した程度で、実践で使ったことはなかったけれど、もしかしたら、そこそこなダメージが期待できるかもしれない。

 そうと決まれば、やるしかない。そう考え、私は岩陰から烏賊の様子を伺う。

 既にそこまでの距離はなく、いつでてきても叩き潰すといった準備万端な烏賊がそこにはいた。


「……当てるなら、やるしかないよね」


 目を瞑り、一つ呼吸。

 恐怖心はあったけれど、それよりも今は楽しかった。

 そうして、目を開くと同時、狼に命令を出して、私はそこを飛び出した。


「……こっち!!」


 私なりの大声を上げ、烏賊の注意をこちらに逸らし、私は駆ける。

 多少休憩したとはいえ、もう足腰にはガタが来ていて呼吸でいっぱいだったけれど、それでも私は走った。


「……ほらここだよっ!」


 そうして、走り抜け、攻撃を潜り抜け、チャンスは訪れていた。

 命令通りに動いてくれた狼は、確かに、その烏賊の顔の横にまで移動してくれていた。

 本当に頼りになる…………。


「……いって! 氷の吐息っ……!!」


 それは狼が最初から覚えていたスキル。

 口から敵を凍らせる吐息を吐くというだけだったけれど、何よりもの利点が一つあった。


「オ…………オオォ……」


 相手を凍らせることで一時的に動きを封じることができるというものだった。

 もちろん、時間はそう長くないし、そもそも近距離じゃないと発動しない。

 なんとも不便なところのある技だったけれど、今この状況に於いては、十分すぎるほどだった。


「……今のうちっ! ウインドカッター……!!」


 私の目的は、敵の攻撃手段を無くすこと。つまり、足を全部切り落としちゃえばいいじゃんという。なんとも適当な考えだった。

 そうして、MPの再び切れるまで魔法を使って、私は無事その全てをやり遂げた。


「……つ、疲れた」


 最後の足を切り終えると同時、烏賊はその姿を光の粒子と変えて消えていった。

 恐らく、体力を削り切ることができたのだろう。

 全身が悲鳴を上げ、唱え続けた喉さえも痛くなってはいたけれど結果は勝利と言ってよさそうだった。


「もう、走りたくない……」


 引きこもり精神をしっかりと携えている私は、全力で走ったことを後悔しながら、ウィンドウを開く。

 今回の報酬は、頑張りにそこそこ見合っているものだった。

 大量の経験値、を大体狼と私で半分こしたため、そこまでといった具合だったが、レベルは5から7まで上昇していた。

 ドロップ品は巨大烏賊の肉とゲソというものをいくつか。そして海底の指輪という装飾品だった。

 前者たちは調理スキルに使えるようなので、持っといて損はないだろう。

 そして気になるのはこの装飾品の方だった。


「……どんな効果だろ」


 詳細を見てみると、記載されていたのは二つの項目。

 ・海底シリーズ装備時のみ、全ステータス上昇小

 ・魔法技能「水壁すいへき」を覚える。一日3回のみ使用することができる。


 というものだった。

 上にある、シリーズのみというのは、装備を全て揃えている場合のみ発動するもので、私には関係ないものだったが、二つ目のものは恐らくかなりの当たりと言っていいものだった。

 水壁は、水属性魔法の初期の方に覚える魔法で、自身の前に壁を作り出し、攻撃を防ぐだけのものだけれど、覚えられるのは水属性魔法を持っている者のみだった。

 私は風属性魔法を選んだので、普通は使うことができない魔法を使うことができるようになるということになる。


「……大当たり……かな?」


 疲れでしゃがみこみながら、私は安堵のため息を吐いていた。


「……ありがとう。おかげで倒せた……」


 私はすり寄ってくる狼を抱きかかえて、そんなことを呟く。


「早く名前つけたいなぁ…………」

簡単なステータス上昇

『しらゆき』従魔師Lv5→7

 HP70→80/80 MP70→80/80

 所持金0ジュエル

 スキル:スキルポイント1→3

 【破壊:     2】

 【創造:     1】

 【本:      3】

 【風属性魔法:2→3】

 【鑑定:     1】

 【調理:     1】

 【採取:     6】

 【意思疎通:   2】

 【魔法範囲拡大: 1】

 【従魔強化:   1】

 【千里眼:    1】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ