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白テイマーさんは悩む

1000ptありがとうございます。って言ってる間に1200届きそうなのほんとすごいですね。

ランキングも相変わらず上位で正直震えてます。ありがとうございます。

今後もこんな感じでうるさい作者と共によろしくお願いします。


 チュートリアルの達成報酬は、薬草と1000ジュエルだった。

 ほとんど所持金のない私からすると、十分すぎる内容だ。

 戦闘の仕方もだいぶわかるようになっていた。基本的には、本で殴っては逃げる。私が攻撃を当てるよりも狼が噛みついて殺すことが多くて、私が攻撃をする必要はそんななかった。

 なので、実際狼が一体倒して、そのうちに私は他のを倒したりなど、効率よく狩りを行うことができた。

 頑張ってと言っておくと、それ以上の指示をしなくても勝手に敵に向かってくれるのは嬉しい誤算だった。


 そうして無事にチュートリアルを終えた私は、相変わらずよく噴水に出没していた。

 理由は単純である。このゲーム内に他にいる場所がないのだ。かといって、ずっと立っているのはそこそこに辛い。

 だから仕方がなく、この噴水で次に何しようとかそう言うのを考えているのだ。


「さて、と……」


 私が今やっているのはステータス画面とのにらめっこだった。

 この間までと比べたらかなり進んでいるとは思う。けれど、これでモンスターとかが倒せるかというと、多分狼任せで、私は何もできないのだろう。

 要するにどういうことかというと、取るスキルを決めあぐねているのだ。だってたくさんあって悩むんだもの。


「今の私がこれだけあって……」


 一応、軽く攻略は目を通してみたけど、戦闘メインなら武器に合わせて~とかそういうのばっかりで、本はどうしようもなかった。

 本に合うのはどうやら魔法職らしいけど、一定レベルまでは、魔法系スキルは一つしか取れないらしく、私は既に風を取ったのでこれを育てるしかない。

 風の系統だって、少しは調べた。内容は、デバフメインであり、あまり攻撃力はない。状態異常の付与や、バフもあるらしい。簡単に言っちゃうとサポート役であり、風魔法だけだと活かしきるのは厳しいらしい。

 その事実はなかなかに厳しいものだった。普通の人なら、そんな大したことないのかもしれないけど、なにせ私にはパーティーを組めるだけの知り合いがいない。

 ナギさんはしばらく無理らしいので、できるようになったら勿論少しは役に立てるとは思うけれど、現状できる人なんて――――。


「……うん、いないってことで」


 そういうことにした。

 さて、そうなってくると今の私が選ぶべき選択肢は次の中のものになるんだと思う。

 その1.魔法に関するスキル

 その2.そもそもの基礎能力上昇スキル

 その3.まったく関係のないスキル

 その4.従魔師関係のスキル


 調べて、私なりに考えた結果出たのがこのくらいだった。

 正直、これを考えているだけだというのに、頭から煙が出てきそうだった。


「他の人はどういう風に決めてるんだろ……」


 辺りを見渡すと、綺麗な鎧を着ていたり、大きくて高そうな剣を持っていたりなど、やはり自分のスタイルを決めている人ばかりだった。

 モンスターを連れている人はほとんどいなかったけど……。

 そこら辺にいる人に直接聞けたらどれほど楽なのだろう。そうは思っても私にそんなことができるはずがなかった。

 そうして私が頭を悩ませている時。急に頭に流れ込んできたのは、着信音のようなものだった。


「ひゃ……!?」


 驚いて辺りを見回して、そしてそれが私宛に送られてきた着信であったと気づいた。

 すぐにメニュー欄を開くと、そこには”春兎”という名前が表示されていた。

 出るのも躊躇われたけど、ずっと耳元で音が鳴っているのも嫌だったので渋々出ることにする。

 ……これ止める方法後で調べとこう。


「……はい」


〈あっ、よかった。今時間大丈夫?〉


「……ええ、まぁ」


 いきなり通話してくる癖に、暇があるかどうか聞くとは。普通逆なのでは……。

 何とか口に出そうになったのを、強く呑み込む。


〈あれ、なんか不機嫌だったりする……〉


「いえ、別に。……それでどうしたんですか?」


 早く通話終わらないかな。と思いながら急かすようにして私は尋ねる。


〈あぁうん。いやぁ久しぶりに声が聞きたくなって〉


 ぶちん。

 あっなるほど、通話はここで切るのか。おかげで一つ学ぶことができた。

 春兎さんには感謝しないと。……さてスキルどうしようかな。

 リンリンリンリン。

 なんか耳元がうるさい気がするけど気のせい気のせい。

 リンリンリンリン。


「うるさい……」


 ので、止めた。

 しかし再び鳴る。これって、音そのものを消せないの……?

 そう思って探している間も、頭の中ではひたすらに音が反響する。

 流石に嫌になって、私は再び通話に入る。


〈あっ、やっと繋がった。酷くない? 一応これでも気を使ってネタを挟んだだけなのにさ、少しは話を聞いてくれてもさぁ〉


「……ごめんなさい。…………ところで何にも関係ない質問だけど、着信拒否機能ってどうやるの?」


〈どう考えても関係あるよね? っていうか教えた途端に通話切ってやりそうだよね!? やめてよ?〉


 流石に駄目みたい。

 まぁ、半分は冗談だから、流石にそんなことはしないけど。


「……はぁ。それで何の用なの?」


〈あぁうん。流石にもうふざけないからその構えた手を降ろそうか〉


「……見えてるの!?」


〈見えてないよ!! そうじゃないかなぁって思ったけどまさか本当にやっているとは〉


「鎌をかけるとは……」


〈もういいや、本題行くよ。実はさ、とある商品が入荷されたんだけど、ちょっとそれを報告したくて〉


「商品……?」


〈そう、商品。詳しいことは直接店まで来てくれると嬉しいかな。できるなら俺の居る時に〉


「はぁ……わかった。けど、それってわざわざ通話するようなこと?」


〈え? あとは、さっき言った通り、声が――――〉


 さて、仕方がないから向かっておこう。明日にでも。

 そうして、私はログアウトボタンを静かに押した。

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