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痛みを植えつけたまま、

 祈流(キル)は、そうっと鏡に近づいた。縦に書かれた真里亜の文字が、中心から割れたように半分だけ消えていた。自分のそばに、半分の真里亜がいる。半分になってしまったけれど、いなくなるよりはずっといい、と祈流は思う。文字を拭き取って、(チカウ)を呼んだ。


「この鏡、仕舞ってくれないかな。……それから僕は、僕なんだよ。もう名前を間違えないで」


 鏡がなくなると、鏡を通して、お揃いのように見えていた、机、本棚、クッション、ベッド、おもちゃが視界から消え、宙流(ソル)の影も見当たらなかった。それなのに、真里亜はそばにいた。いつか真里亜をとり返しに来るのかもしれない。祈流は、半分の真里亜を撫でて言った。


「体、またバラバラになっちゃったね」


 祈流の脳裏に、事件当時の意識が蘇る。切り刻まれた肉の破片が、祈流の神経を狂わせた。しかし、すぐに現実との区別がつかなくなった。

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