肯定する一方で、
へやのなかは、同じものが左右たいしょうに おかれている。つくえ、本だな、クッション、ベッド、おもちゃ……ぜんぶ。色と もようも同じ。今、きているふくもそう。まるで、まちがいさがしクイズのようなんだ。
「キル、ちゃんとかたづけなさい」
お母さんの目は、ぼくのテーブルと、弟のテーブルのまんなかで、ひらいたままの本に むけられている。
「ぼくじゃないよ。ソルだよ」
いつも へやのかたづけをしないのは ぼくだってきめつけている。
…当たりだ。
たしかにその本は、ぼくがしまいわすれたものだ。ソルは、読みおえたら、きちんとかたづけをする。ときどき、ぼくのものまで元のばしょにもどしてくれる。こうして まちがいさがしのクイズがリセットされるんだ。
ソルはちょうどトイレに行っている。こんなときは、ソルのせいにすればいい。ソルは、本を読んでいるとちゅうで、トイレに行ったのだと、お母さんのかんがえは、たてに はんのうする。
「あら、ごめんなさいね」
お母さんはそう言って、ケーキとジュースをぼくの前にならべて、へやを出て行った。本をかたづけていると、ソルが入ってきた。にこにこしながら、ソファーにぎょうぎよくすわって 小さな口をあけて、き色い山をひとかけらあじわう。
ぼくとはせいはんたいだ。かおだって にていない、ぼくの 思いは よこにふる。
ぼくたちは、ぜんぜん にていないのに、お母さんもお父さんも、ときどき、ぼくたちの名前をまちがえた。
けれど、マリアは、ぜったいにまちがわなかった。「ぼくたち、にてないよね」と聞くと、マリアはうなずく。マリアは、お母さんの友だちの子どもで、よくうちにあそびに来る。お母さんは、女の子がかわいくてしかたがないみたい。いつも「女の子はおとなしくていいわねえ」って言いながら、マリアの頭をなでる。マリアのえがおは、本当に てんしのようにかわいいから、しかたがない。