↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
77/673

星との出会い②

出会ってまだ数日ばかりの俺に対し、どうして彼女がそこまでしてくれるのかはわからない。


それでも、ディアナは真剣に俺の身を案じてくれている。

今の平手打ちも、両の瞳いっぱいに溜まる涙も、俺が自らの命を粗末に扱ったことに諫言(かんげん)しているのだ。


また、間違えるところだった。


相棒への謝罪の念は変わらない。

けれど、『何について』謝罪するのか、もう俺は間違えない。


「すまなかった、ディアナ。自分から死にに行くようなことをして」


「……はい」


「そして、ありがとう。俺を助けてくれて……俺のことを、心配してくれて」


涙がこぼれ落ちそうになるのを懸命にこらえ、泣くまいとするディアナに向かって微笑みかける。


俺の気持ちが伝わるように。

ごめんなさいとありがとうを込めて。


「また、一人で突っ走っちゃうかもしれないからさ。その時は、遠慮なく叱ってくれよな」


「……はいっ、お任せください。私は、貴方様(マスター)の響心魔装(シンクロ・デバイス)ですから」


そう言って後頭部を掻くと、ようやくディアナもほんのりと笑みを浮かべてくれた。


遂に彼女の目から一滴の涙がポロリと落ちた。慌てて俺は右手を伸ばし、人差し指で拭い取る。


って、今気付いたけど、ディアナもびしょ濡れでボロボロじゃないか。


俺を救うときに海水にまみれてしまったのだろう。ディアナの漆黒の服は水を吸って殊更に黒くなり、彼女の肌にぴっちりと張り付いていた。元来細身な彼女のシルエットをより際立たせている。


透き通った白銀の髪も、海水に濡れて頬に張り付き、半端に乾いたせいで荒れてしまっていた。いつもならピンと姿勢よく立っている狐耳も萎(しお)れて項垂(うなだ)れている。ダメ押しに、さっきのやり取りで泣かせてしまったことで、目まで腫れていた。


ディアナの整った容姿といえども、若干の陰りを見せてしまっていた。


相棒にこんな格好させたまま気絶してたのか俺。さっきとは別の意味での申し訳なさが顔を覗かせる。


ディアナの現況をじろじろとチェックしていると、きゅっ、と両手で身を引き寄せた彼女が呟いた。


「あの、マスター。あまり見ないで頂けると……」


「え、あ、ああ。ゴメン!」


うわあ今の俺ただの変態じゃん!


乱れた格好の女子を舐めるように見るとかさ!


慌てて上着のブレザーをディアナに羽織らせた俺は、地面に胡坐をかいたまま九〇度横に急速旋回した。


あーもう今日の俺最低じゃん……いろんな意味で。


肩口のブレザーを見慣れなさそうに眺めた後、顎を沈めるディアナ。

その様子を視界の端に写しながら、俺は溜め息をついて肩を落とすのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。