星を駆ける③
仲間たち全員と、そこに連なる無限に等しい同志のみんな。異世界の同志たちの心も、こうして繋ぐことが出来た。その事実を理解すると同時、俺は大地を蹴った。
地上に、心身気影で分割させた、己と相棒の分身を残し、天へと立ち昇る五芒星の尾を駆け上がる。既に俺たちの心技は発動している。維持だけなら起点となる分身に任せても問題無いだろう。
視線の先で、落ちてくる青色の惑星が、少しずつ夜色の魔法陣に呑み込まれていくのが見える。
これだけの大規模術式……いや、心技を発動出来たのも、地球中と、そして今こうして声援を届けてくれている、エーテルリンクの同志たちのおかげだ。
耳に聞こえる声援の中には、聞き覚えのある女性や、男性の声も混じっている。
届きはしないだろうが、心の中で感謝を告げる。きっと、俺やディアナ、アイリス達の手を借りただけでは、ここまでの心技は発動出来なかっただろうから。
みんなのおかげで、推しアイドルたちの明日を、ライブ開催の未来を繋ぐことが出来た。
あとは。
そうして駆け上がった到達点。堕ち行く異世界エーテルリンクを、元あった宇宙銀河へ送り返す夜色の心因魔法陣の隣で、創星神が頭上から白鍵を呼び寄せる様子が見えた。
この事態を齎した元凶である彼女たちを、俺の推しアイドルたちを排除するための動きであると、一瞬で理解した。
――右手の夜剣に、力を込める。
俺の、ディアナの、アイリス・リラ・ルナちゃん達の……そして、地球とエーテルリンクに遍く存在する、同志のみんなの心が、手の中で一つになる。
それは、言うなればもう一つの世界。
手の中で、心のままに繋がる新たな宇宙。
『生命回路、双極構造を形成。ソウルドライブ、練度神化……成功、しました』
相棒の声が脳内で響き渡る。
それと同時に、創星神が白鍵を握り締め、振り向きざまに大きく構えていた。
「させるかよ……!」
その動きを阻む正面で、推しアイドルたちの未来を護るための位置で、立ちはだかる。
無限に広がる心を重ねて、右手の夜剣を解き放つ。
「『交錯する勇気・創世!!』」
幾重にも紡がれた魂の波動が、十字の銀河の形をとって迸った。
新たな世界――宇宙空間を創り出しながら突き進む波動は、金色の神の全身を飲み込む。
金色の神……創星神は何故か、構えた白鍵を振り下ろすことなく、そのまま波動の直撃を受けた。
創星神の金色の瞳と、俺の視線が交錯する。
その瞬間、脳裏に、遥か彼方で俺たちを見守る女性が、相棒と同じ容姿を持つ神が、つ、と一筋の涙を、音も無く流した映像が浮かんだ。
――さようなら、師匠。
その声が届いたのか、否か。
まるで笑ったかのように双眸を細めた表情で、創星神の姿が消滅した。




