Meanwhile⑥
『――イイね。イイねイイね、実にイイねぇ!! ていうかちょっろいねぇニンゲン諸君!? まさか、無限ループに落とす前にここまで堕ちるとは嬉しい誤算だよ!』
『篠崎クンの方はもう少し味付けできるねぇ。んー、家族からも孤立してボコボコにやられるだけじゃアレだからー……もうちょい犯罪色足そうか♪ どんどん濡れ衣着せて行こうねぇ~』
『ディアナちゃんの方はまあ、あとは簡単だね。ホントだったら、工房が解体される前に、ディアナちゃんのいる部屋だけアルトが凍結処理をするみたいだけど……それ無くせば一気に人生真っ逆さま、ってね! 割と実体験通りで味を濃くしただけだったんだけど、よっぽどトラウマだったんだねー。この頃の記憶、ほとんど無いみたいだし』
『……たった一人のニンゲンの記憶をなくしただけでこうなるなんて、怖いねぇ。妄信し過ぎなんじゃないの? 全く困ったもんだよ』
『さぁーて。それじゃあ最期の仕上げに取り掛かります、か――』
――させないよ
『……誰だ』
――させない、絶対に
『何処にいる。いや、どうやって入って来た! ここは私が創り出した心象領域だぞ。領域の大元である悠葉とディアナならともかく、私の許可なくこの空間に入り込めるなど――』
――違うよ 後から入ってきたのは、あなたの方
『何だと……ッ!? お前は……!』
――この場所には、私の方が先にいるんだもの
『白風、瑠奈……!?』
――…………
『そんな馬鹿な。奴らの記憶にあるお前の存在は抹消したはず……!』
――そっか、サンファさんが地球との転移魔法陣を造ってから地球に来ていたあなたは、知らないんだね サンファさんも、今のあなたと同じことをしようとしていたんだってことを
『同じこと、だと……!?』
――そう だから私と父さんは、新しい被害者を出さないために、召喚者になる可能性のある人たちの心に精霊を宿すことにしたの こうして、みんなの心と魂を護るために
『精霊だと……チッ! ニンゲン如きが、余計な真似を……!』
――ねぇ、創星神さん どうしてあなたは、そんなにも人間を蔑視するの?
『はぁ?』
――神になって明らかに、人間という種そのものを見下し始めたよね 定命だから? 愚かだから? それとももっと単純に、自分と気が合わないから? あなたはどうしてそんなに、人間を嫌って、不老不死になろうとするの?
『……なぁに、その質問? 答えなきゃいけないの?』
――ううん、そんなんじゃ……
『何かの時間稼ぎのつもりだったら、お生憎様ッ! こっちには、オマエなんかにかかずらわっている時間は無いの。オマエと話している間にも、あの二人の心を壊す顛末は書き終えてある――これで、終わりだッ!!』
――…………
『……な、なんで。なんで何も起こらないッ! 確かに思考加速と最悪の結末を織り込んだ状況術式を発動させたはずなのにッ!? ……オマエ。オマエ、何をした――!?』
――私が、みんなの心と魂を護る、って、言ったよね 本当はそれ、少し違うの
『――なんだ、このヒカリは。まさか……まさかッ!!』
――本当は、正確には……私たちで、護るの ね、ディーちゃん
「ええ、その通りです。貴女に、マスターの心を壊させはしません。創星神エンデ」




