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神の衣を纏いて⑫

目と鼻の先ほどの位置で鍔競り合った鍵から、創星神の産み出した惑星や魔法などより、遥かに強力な威圧感を感じ、冷や汗が流れる。ディアナ本体である夜剣でなければ防御が叶わなかったのも納得の神威だ。


「――世界の鍵(ブレードオブイデア)


創星神が、ぽそりと零した呟きの直後。一瞬の膠着状態を振り払うかのように、再び目にも止まらぬ速度で白鍵(はっけん)(ひるがえ)る。


「ディアナ!」


『はい!』


短く言葉を交わした俺とディアナは、どちらからともなく夜剣の刀身に闇夜神路(リ・ディアセレナ)たる夜色の波動を纏わせ、世界の鍵(ブレードオブイデア)と呼ばれた白鍵の猛攻を受けた。


その目まぐるしさは舌を巻く勢いだ。アーツの目……魔素(マナ)を映す目で、僅かながらに捉えられる飛来予測位置を、もはや着弾時には見ることすらなく感覚で防ぎ続ける。


息つく間もなく繰り返される剣戟、もとい鍵戟の最中、不意に一瞬、攻撃が止んだ。


が、


「――これは、どうだいっ!?」


その空白の瞬間を認識した途端、白鍵の巨大な持ち手を握りしめた創造神による、大振りの振り下ろしが繰り出された。反射で反応した両腕が、どうにか白の一閃を真正面から受け止める形で夜剣を構える。


そのか細い腕から放たれるとは到底思えない膂力により、鍔競り合った鍵のブレード部が、ぎりぎりとこちらの方に押し込まれてくる。


「ぐっ……!」


「……皮肉なものだよねぇ。神になったところで、互いの権能レベルが拮抗し過ぎてしまえば……結局のところ、ただの力比べ(人間以下の獣の争い)で雌雄を決するしかないなんて!」


このままだとやられる。瞬時に同じ結論に辿り着いた俺とディアナの思考が、同一の行動をとるべく二つの思考で身体を動かす。


力で競り合っていた刃の支点をずらし、自身の右側……創星神の左手側に抜けるように夜剣を傾けた。二人分の思考により最適化された動作が、僅かに一瞬だけ、神にさえ即応させない行動を可能にする。


「な、にっ!?」


夜色の刃の誘導線を白鍵が滑り抜け、鍔競り合いから一転フリーになった体勢から、至近距離の心技を放つ。


心意によって編まれたもう一つの夜剣が出現する。俺たちの握る方と合わせ、二振りの夜剣が宇宙空間という名の波動を身に纏い、それを増幅させる。


「『闇夜を纏い(リ・ロイズ・ランス)気影に分かつ虚突曜進(ロット・ディアセレナ)――!!』」


極限まで研ぎ澄まされた心意と神威を宿し、二つの夜剣と共に俺たちは疾駆した。

バランスを崩した姿勢の創星神には、どうあっても避け切れない位置での発動。


入る。

二人共がそう思った。


そして。


夜色の波動漲らせる刀身が二つ、金色の輝きで溢れる創星神の身体に深々と突き刺さった。


入った、これで――!!


……そう、思ったのも束の間。湧き起こる嬌声の前に、脳内の冷静な部分が語りかけてくる。


何故、創星神は防御しなかった? 

あの白鍵を使えば、両方は無理でも片方の命中は退けることが出来たかもしれないのに。


その答えは……俺たちの頭上にあった。


創星神の身体を貫いた俺たちの真上。煌々と白い光を放つ鍵が、そのブレード部を標的の額へ確かに定めた体勢で、浮かんでいる。


肉を切らせて骨を断つ。自身のダメージを覚悟しながら、次の手を打っていた創星神が、ニンマリと口の端を吊り上げた。


直後、光速で飛来した鍵のシルエットを最後に、俺たちの意識が暗転した。

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