表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

61/673

相棒って本当に頼りになる⑪

洞穴の外が暗くなってきた。ディアナに声をかけ、焚き火をつけよう、と提案すると、指先に火を灯してあっという間に点火してくれた。


俺が称賛の言葉を述べると、「魔法とも呼べないほどの技術です。マナの宿るエーテルリンク人であれば誰でも使えますよ」とのこと。料理とかの生活技術と同じレベルのようだ。


薄暗かった洞穴を、炎が柔らかく照らし出す。

焚き火を囲んで、もう四本目になるキナの皮を剥いている時にふと気づいた。


「ディアナ。お前、これどうやって採ってきたんだ?」


これ、とは、キナをはじめとする果物たちと、焚き火用の薪のことである。


なにせ、今俺たち二人がいるのは峻険どころかほぼ直角に切り立った山肌に、無理やり穴をあけて掘った洞穴だ。上に登るにも下に降りるにもかなりの高度がある。素手での昇り降りはまず不可能だ。


そんな環境で、これだけの荷物を抱えてどうやって出入りしたのだろうか。


問われたディアナは、咀嚼途中だった薄いピンク色のトマト型の果物――ピトーというらしい――を飲み込んでから、小さな口を開いた。


「はい。マスターからお借りしていた心素(エナ)を少々使わせて頂きました」


「ああ、移動中の残りがあったのか?」


「その通りでございます。その心素を用い、限定魔装形態リミットデバイスモード下で月神舞踏(ディアナアーツ)を発動させて山へと下りました。必要な物資を回収後、同じ手はずで戻った次第です」


「りみっとでばいすもーど?」


魔装形態(デバイスモード)時の能力を一部のみ開放し、単独である程度駆使できるスキルです。事前にマスターから心素を受け取っておく必要がありますが、私一人でも、月神舞踏や夜剣を扱うことができるのです」


ディアナはそう言って立ち上がると、右手を少しだけ前へ伸ばした。


「……限定魔装(リミットデバイス)発動オン


その言葉に応えるかのように、彼女の身体が夜色の帯を纏った。いや違う。これは、ディアナの身体から帯が放出されている?


宙へと舞い出た帯はディアナの伸ばす右手に集まり、やがて夜色の短剣を成した。


「ふぅ……やはり、私一人ではこれが限界ですね」


そして、夜剣の完成と同時に……ディアナが、縮んでいた。


何歳か若返っている。明らかに幼くなっている。今はもう十歳そこそこなんじゃないか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ