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相棒って本当に頼りになる⑤

構成としては、ライブ衣装に身を包んだルナちゃんが、ステージでパフォーマンスをするところから始まり、街角や海辺、雑踏の中など様々な場面・衣装で歌っている姿がダイジェストに流れた後、サビの部分でステージに場面が戻ってくる、といったシンプルなものだ。


だが、そのシンプルな捻りのない場面展開であればこそ、彼女の持つチャームポイントがダイレクトに伝わってくるのである。


事実、このデビュー曲MVはファンの間でも評価が高い。

いくらファンといえども、個々人の好みなどで評価が割れることは珍しくないのだが、ほとんどのファンが総じて高評価を付けている。


やはり、真に良いものは好みなどを超えて人々に伝わるんだなあ……うんうん。


などと考えていると、早くもMVが終わってしまった。一曲分だから再生時間が短いのだ。


手帳型ケースを開いてスマホを立てかける。んでリピート再生にしてっと。


これでいつ寝落ちしても大丈夫……あ、イカン。いよいよ真剣に眠くなってきた。せっかくルナちゃんの姿に活力が戻り始めたところなのに。


「悪い、ディアナ……」


あとは頼む。と続けようと、右隣に腰を下ろした相棒の姿を見ると、銀白の少女は今なお再生が続いているルナちゃんのMVに釘付けだった。


洞穴(ほらあな)の床に置かれたスマホを、正座姿で前のめりに覗き込んでいる。心なしか目がキラキラしてるように見えるけど……もしや気に入ったのだろうか。


真面目な優等生然とした振る舞いの彼女がまさか。気のせいかと思ったが、何気なくディアナの頭上を見上げた瞬間、俺が感じたことが間違いでないと分かった。


……彼女の狐耳が、これ以上無いのではというほどに激しく(おど)り昂っていたのだ。

(はた)で見る人間にも、その喜びが伝わってくるほどに。


あ、これ気のせいじゃないわ。

一〇〇パーオチたね。また一人ファンが増えましたよこれ。


さすがルナちゃん。異世界の美少女をも魅了するアイドル……


ていうかディアナさん……普段の表情と狐耳とで感情表現の振れ幅ありすぎじゃないですかね……


姿勢を崩さずスマホを見続ける傍ら、全身の興奮をその小さな身一つで表現するかの如く荒ぶる狐耳を見比べながら、俺は眠りに落ちていった。

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