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目が見えなくては生活も出来ない②

今は店員さんがその注文品を用意しているのを待っているところなわけだが、急に怒鳴るなよな。

そりゃ、今や幽霊であるハーシュノイズの姿は俺にしか見えないし、声だって俺とディアナにしか聞こえないけどさ。ビックリするだろ。


『テメェが一向に天空神の入った魔晶を捜しに行かねェからだろうが!! 昨日一日どころか今日も半日無駄にしやがッて!!』


そんなこと言ったって、目が見えなきゃ何にも出来ないんだから仕方ないじゃんか。


「何かアイテムを一つだけ持って無人島に行くとしたら何を持っていく?」って聞かれたら真っ先に眼鏡って答えるぞ俺は。いや、逆に思い浮かばないくらい俺の身体の一部と化している、とも言えるかもしれない。


『ンなこたぁ、どォーでもいいんだよ! オマエ、本当に分かってんのか!? こうしてる間にも、天空神がクソキツネ野郎に襲われてッかもしれねェんだぞ!?』


「んー……」


その心配はもっともなんだけど、でも冗談じゃなく今のままじゃどうにもならないんだよな。


一昨日、俺と李が再戦した深夜。ハーシュノイズはサンファと戦い、その最中、謎の第三者の襲撃を受けて命を落とした。その襲撃者の正体や、姿を消したサンファの行方の手掛かりなど……それらを知るであろう、ハーシュノイズの同行者、エーテルリンクの天空神アーツ。ハーシュノイズはアーツが身を潜めているという、魔晶を捜すように俺たちへ言い渡した。


それを聞いて、昨日何もしなかったわけじゃない。気配らしきものを感じないかディアナに頑張ってもらったり、ハーシュノイズが魔晶を逃がした――咄嗟に放り投げたらしいが――方角へと適当に歩き回ってみたり……でも、昨日はこれといった成果は無かった。


っていうか、逃がした当人であるハーシュノイズの方にこそ、なんかアテくらい用意しといて欲しかったけどな。


『ンなモンあったらとっくに言ってるっつゥの。仮にもテメェらはアーツの眷属、神位名を冠された人間なんだからよォ、なんかテメェらにしか分からねェ捜し方がある筈なんだよ。さっさとそれをしろってーの』


『丸投げじゃないですか……』


今も俺の身体の内側にいるディアナが呆れた声を漏らす。ホントその通りだと、俺はうんうんと頷いた。無茶言うよなぁ、まったく。


……まあ、心当たりの手段が無いわけじゃない。


とはいえ、その方法を試すにも眼鏡は要るんだよな。


「篠崎様、お待たせいたしましたー!」


そんなやり取りをしていると、カウンターで眼鏡姿の女性店員が呼ぶ声がする。

用意が出来たらしい。俺は物色していたフレームを棚に戻すと、はっきりとしない視界に警戒しながらゆっくりと店員の下へと向かった。

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