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金・三・響⑱






「では、小僧によろしく言っておいてくれ。儂はレイシーと共にガランゾ(この国)に残る」


「李さん、本当に良いんですか? あれだけ決死に、サンファさんを追っていたのに……」


「……レイシーと繋がり、天壌紅蓮と相対した時に、不思議と奴への執着は薄れた。とはいえ、無論奴の行い全てを(ゆる)したわけではない。小僧に伝えてくれないか。儂の代わりに、奴にきつい一発をくれてやるように、とな」


「……はい。分かりました!」




「それじゃー、お別れですねぇ。わたしのアドバイスを活かしてー、上手くやるんですよぉ?」


「……ん……ありがと……」


「……だーからぁ。あんまし暗いカオは良くないって言ったじゃないですかぁー。またすぐに会うことになりますよぉ。こっちで全国ライブする、って、おかーさん言ってたでしょー?」


「……ん。また……ぜったい、また、ね……!」


「はいはーい。また、ですねぇー」




「さて。魔法陣の用意は出来た。いつでも地球に向けて跳べるよ」


「はい! ありがとうございますっ」


「……これくらいしか出来なくて、すまない。今ボクはアーツに代わって、エーテルリンクの管理代行という立場なんだ。この世界を離れるわけにはいかなくてね」


「そんな、これでも充分ですよ! エアリベル様が異世界転移の魔法陣まで用意してくれたから、トレイユに戻る分の時間も短縮出来るんですし」


「そう言ってもらえると、助かる……楽しみにしているよ。また君たちのライブに参加出来るのを」


「もっちろん、任せといてくださいよ! あっ、フレア様。会場の用意、よろしくお願いしますね!」


「ああ。お前たちが来るまでに、ガランゾを元の姿に戻して見せるとも。あの仮設ステージ以上のものを用意しておいてやるさ」


「…………」


「あ。イルミオーネ様、も、お願いしますね……?」


「……フ、フフ、フフフハハ」


「あ、あのー? 何で俯いたままで痛ったぁ!?」


「やはり。やはりだ!! 私の考えは間違いなかった!! 見たか、お前たちの舞台を見た皆の姿を!! 心身ともに満身創痍である筈の奴らの、充実した表情を!! これだ……これをモノに出来ればトレイユは……フハハハハハハハハ!!!」


「あの、ちょ、やめ、揺さぶらないで」


「会場? そのためならばいくらでも用意してやるさ! ベロニカやマリーネへの話も通しておいてやろう!! 柄にもなく待ち遠しくさえ思っているぞ、私ともあろう者が!!」


「イルミオーネ様、そのくらいに。ツアーライブ以前に、アイリス様の身体に支障が出てしまいます」


「おっと! そいつは不味い。すまんな、熱くなった」


「し、しぬかとおもった……」


「なんだ、大げさだな。これから神と対峙するかもしれんというのに、そんな調子で大丈夫なのか?」


「……まあ、向こうには頼りになる二人がいますから」


「む……奴のことは今もっていけ好かんが……お前たちの活動に必要な人間だと言うなら、仕方あるまい。奴らも一緒に、上手く事を治めて来いよ」


「……はい!」




「じゃあ、行ってきます!」


「無事に戻るのを待っているぞ。ユーハや、ディアナも一緒にな」


「はい! エアリベル様も、ありがとうございました――」


「ああ、待って。最後にもう一つだけ……はい、アイリス。君に」


「? なんですか、その手――へっ!? え、は、ちょ!? 嘘でしょ!? なんで!? なんでアタシ!?」


「ど、どうしたの、アーちゃん?」


「いま! 今頭の中でエアリベル様の声が! 聞こえなかった!?」


「……きこえなかったー……」


「エアリベル様っ!? これ、どういう」


「まあまあ。今のところ仮免許だから、そう気負わずに。いや良かったよ、人界に降りた本来の目的も済ませることが出来て。じゃあ、行ってらっしゃい」


「いやあの、ちょっと重いんですけど――――!?」




「頼んだよ、アイリス……いや、ボクの新たな友、日輪烈光(にちりんれっこう)よ」

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