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金・二・災⑫

『〇ット■×▼イ!!』


雨あられと撃ち出される岩石の弾丸を、火焔体の口腔から放出される熱閃が横一線に薙ぎ払った。

空中に描かれた紅蓮の横一文字が、イルミオーネ様の展開する結界部分以外の背後で爆ぜ、灼熱に染め上げる。また国内で火の手が広がってしまう。


仮にイルミオーネ様の心技がただの焔にも通用していたとしても、一人で何とか出来る規模じゃ、ない。


アタシは燃え広がる焔の合間を全力で走り、一気にグゥイさんの消えた瓦礫の山の向こうへ滑り込んだ。間一髪のところで、背後で爆音が鳴り響き、思わず身が縮み上がる。


イルミオーネ様の背後で、数少ない安全地帯でもあるその場所には、リーと、その腕の中に抱き止められるグゥイさんの、二人の姿があった。


しかし……執事服の女性の顔色が、恐ろしく悪い。青ざめていると言っていいくらい。リーの顔つきも、そんなグゥイさんを心配するような様子だ。


「グゥイさん、大丈夫ですか!?」


「アイリス、様……はい。イルミオーネ様方のお陰で、外傷はありません……ですが」


「やはり、先程の光の線は」


言い淀むグゥイさんの言葉尻を、リーが短く引き継いだ。力無く頷いたグゥイさんが、まだ話を理解しきれていないアタシのために、再び口を開く。


「途切れて、しまいました。フレア様と、私とを繋ぐ、生命回路(アライブライン)が……」


その言葉を最後に、グゥイさんが完全に項垂れる。震える手を、胸元で強く握り締めながら。


「そ、れって……」


告げられた事実に、アタシも言葉が出ない。

話すのも辛そうな伴侶を気遣ってか、リーが代わりに口を開く。


「お前にも見えたかもしれないが……先刻レイシーが主へと呼びかけた時、宙に光の線が浮かび、弾けた。アレが生命回路だったのだ。おそらくは主たる、あの焔の獣からの能動的な切断だろう」


「……完全に、切れちゃったんですか。前の、ユーハとディアナのときみたいに、妨害じゃなくて?」


確認を意図とするアタシの問いに、グゥイさんが無言で首を縦に振る。


かつてガランゾを訪れた際、ユーハとディアナの生命回路の働きを、魔導機器によって妨害するという手段を取られたことがあった。そのときは一時的な妨害に過ぎなかったけど、今回はそれとは違う。主従関係を、主と響心魔装(シンクロ・デバイス)の関係を、完全に失った……ってこと、よね。

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