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金・二・道⑫

「だが、それはそのための基礎を教え、(はぐく)む指導者無くしては、そうそう辿り着ける領域ではありゅまい。やがて訪れる時代の流れに先んじ、流れに乗るのではなく支配するためには、お前たちのような先達が必要なんら」


「な、なるほど……?」


……なんか、イルミオーネ様の目線が覚束なくない? 微妙に呂律もおかしくなってるような。

今凄く大事な話してるのに。


当の本人は気付いていないらしく、またも豪快に酒瓶を傾け、喉を鳴らしながら中身を飲み下している。


「い、イルミオーネ姫? お酒はその辺にしておいた方が良いんじゃ?」


「らぁから! ひめと呼ぶなと言ってるらろ! 今大事な話をしてりゅんだ! 黙ってきけ!!」


「は、はぁい……」


善意で掛けられたルナの忠告も、今の女王の耳には届かないっぽい。

アタシはというと、イルミオーネ様の話の続きが気になるので、実はむしろ先を促したかったりする。


気になる。将来、この世界でアイドルがどうなるのか。このヒトはどう予想しているのか。


……そして、アタシたちに何を求めてるのか。


開いているのかいないのか分からないくらいの半目になってしまった女王は、飽きもせず新たな酒瓶に手を付ける。ルナが諦めた表情で肩を落とす中、アタシは自分の手の中のお酒を飲むことも忘れて、イルミオーネ様の次の言葉を待った。


「あいりす、きさまは(わらし)の野望を、そうとは知らずとも阻んら。その責任を取れと言ってりゅのだ……そしてルナ。きさまはこのあいりすや、あのゆーはとかいう小僧も心酔するほどの実力を持ちゅアイドルら……おまえたちが講師となり、アイドルを夢見る者たちを導き、時にはお前たち自身がらいぶをひろうすりゅ……この触れ込みに飛びつかんものはいにゃい……」


なるほどね。確かに、サンファ様による精神支配よりよっぽど人道的な計画だわ。

その人の心を支配するんじゃなく、その人自身が目指したものを応援する、っていう感じのポジションなのが、アタシ的には好ポイント。


今アタシたちの目の前でふにゃふにゃになりかけてるこの女王サマは、もしかしたら、とっても先見の明があるのかもしれない。


「だけど、それって、アタシたち二人で何とかなるものじゃ」


もしもその計画を実行に移すなら、ユーハやディアナにも手伝ってもらう気満々なところはあるけど……到底人員が足りないわ。きっと、教えを乞う側が殺到する。


しかしイルミオーネ様は、「もんだいにゃい」と、かなり怪しくなってきた呂律で即座に返してくる。


「いまトレイユにはぽっかりと浮いた人員がいる……物事の飲み込みがはやく、まじめで、ついでに見目も麗しい奴らら……まずはそいつらに教育と研修をおこない……講師にするのだ……」


「え。城仕えの宮廷魔術師とかですか? そんな人たちを回していいんで――」


「ちがう……わすれたのか……おまえらがさんふぁを下したことれ、ヒマができたやつら……もとチキュウ人たちの相棒だった……響心魔装(しんくろ・ればいす)たちら……」

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