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第ニの国へ

「それで、ベロニカにはどうやって向かうのかい?」


「……なんでいるんだよ」


市街へと繋がる城門に到着した俺とディアナを、つい先ほど蹴飛ばした魔術師の笑顔が出迎えた。


言付けにはしっかり応じているようで、その足元には俺が通学に使っていた鞄が置かれている。……俺の記憶より膨らみが増えてるような気がするけど。


「もちろん転移魔法だとも。ほら、これでも私は神位級の魔術師であるからしてね。ああ、この袋には旅の道中使えそうなものを入れておいたから、存分に役立ててくれたまえよ!」


じろりとサンファを睨め付けると、相も変わらぬ飄々とした調子の答えが返ってくる。


ていうか、転移魔法て。

そんなんあるなら次の国までパッと行けるんじゃないのか。


「いやいや。確かに転移魔法は便利だけど、その分制約も多くてね。単純に遠くまで跳ぼうとすれば消費する魔力は大きいし、それ以前に、他国間の直接的な転移魔法の行使は条約で禁じられているのさ。物騒だからねぇ」


なるほど。言われてみれば当然な話でもある。

いきなり国王の背後に暗殺目的の魔術師が現れるなんてこともあり得るだろう。ぞっとしない話だ。


まあ、結局物理的に移動するしかないとわかったところで、そろそろ出発するとしよう。


ディアナに目線を向けると、銀白の少女は小さく頷き、たちまち夜色の帯と化す。


目を僅かに見開くサンファの前で、魔装形態『月神舞踏(ディアナアーツ)』への変換が完了した。


「……それが彼女の魔装形態かい!? いやはや、武器と成る響心魔装(シンクロ・デバイス)は数多く見てきたが、衣服の如く身に纏うタイプのものは初めて見るねぇ……どんな術式回路なのやら……うっ!?」


サンファが好奇心を前面に押し出して鼻息荒く近寄ってくる。先程より気持ち弱めにその腹を蹴飛ばし、その場にうずくまる様子を横目に鞄を回収。


「それじゃあな」


「も、もう行くのかい? あと少し待てば王がお目覚めになるよ?」


地面に伏せって絞り出された声に、俺は仮面の下で顔をしかめた。あの女王に会ったところで出発が遅れるだけだ。早いとこ立ち去ろう。


サンファに背を向け、足元に『跳躍』の魔法陣を展開する。


「多少は褒美なりを下賜(かし)すると思うし……だから、もう少しその魔装をよく見せて」


「それなら、俺が槍を借りた兵士さんに、新しい槍を授けてやってくれ」


こちらに向かって弱々しく手を伸ばす魔術師にそう言い放つとともに、俺は魔法陣を強く蹴り、宙空に身を躍らせた。

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