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金・二・道⑦

「作戦会議って、いったい何の……?」


「そんなもの決まっている。イタズラの、だろうよ。ダリアの得意分野だ」


ルナが問うも、イルミオーネ様は何のことも無しに応える。


「う、うちの子にあんまり悪影響を与えないで欲しいんですけど……!」


「はぁ? お前、あの娘が何のためにイタズラを仕掛けていると……いや、私の口から言うことじゃないか……ええいっ。何故私が自国民でもないやつの家庭環境に頭を痛めなければならんのだ!」


「え。何ですか今の言い方? 何か知ってるんですか!」


「やかましい私に聞くな! ……そんなことより、お前ら二人に話がある。中に入れ」


苛立たしそうに言い捨てたイルミオーネ様は、身を翻すとシンカンセンの中に大股で歩いて行ってしまった。どこか釈然としない気持ちだけど、仕方なくアタシとルナはその背を追いかける。


野営中の客室内は、睡眠のために明かりが落とされており、窓から月明かりが少し届くくらいで薄暗い。


リーとグゥイさんは休憩時でも基本的には操縦室にいるので、客室の使われていない椅子もアタシたちが全部使っていいことになっている。


イルミオーネ様はその中の一つにどっかりと腰を下ろすと、飲み物の入った瓶を二つほど放り投げてきた。空中で二つともキャッチし、片方をルナに手渡し、イルミオーネ様と通路を挟んだ反対側の椅子に腰かける。


「……なんですか? 話って」


「なに、大した内容じゃない。いい機会だから、貴様に私の愚痴を聞かせようと思っただけだ」


ぐ、愚痴!? そんなもの、何でアタシが聞かされなくっちゃいけないの!?


イルミオーネ様の急な発言に、アタシは思わずルナを見てしまうが、流石のルナも戸惑った様子だ。


アタシたちが言葉の真意を図りかねる一方で、イルミオーネ様は手に持った瓶を勢いよくあおった。

ゴクゴク、と喉を鳴らしながら飲み下し、美味しそうに一息ついている。


「え。イルミオーネ姫。それひょっとしてお酒ですか?」


「だから、姫と呼ぶなと言ってるだろ! 酒だが、どうした。たまにはいいだろう」


「私、未成年なので……」


「……ああ。チキュウでは二十を過ぎなければ飲酒は禁じられているのだったか。ならお前はこっちにしておけ。おいベロニカの。それはお前が処理しろ」


「ハイハイ分かりましたよー」


新しく放られた瓶をキャッチして、ルナの持っていたものと交換する。

あんまりお酒って気分じゃないんだけど……気乗りしないながらも、口に含む。そんなアタシを見て、イルミオーネ様が満足したように頷いた。


「アーちゃん、お酒大丈夫なの?」


「へーきへーき。こう見えてそれなりに酒豪なのよ? アタシってば」


「サンファに聞いた話だと、ユーハ(あの小僧)が魔晶回収で訪れた日、宴会で盛大に飲み明かして二日酔いで苦しんだという話だったがな」


「変なトコ見ないでくださいよ!?」


なんでそんなシーン見られてんの!? っていうかさっさと本題に入ってくださいよ! 

……いやあんまり愚痴も聞きたくないけれども!

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