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金・二・道⑥

「と……リラ、ね」


森の木々の少し奥。シンカンセンからギリギリ見えなくなるくらいのところで、響心魔装(シンクロ・デバイス)の二人が石に腰かけている。


何事か話をしている……ように見えるが、それなりに距離があるため口の辺りが動くのがやっと見えるくらいで、会話の内容は聞き取れない。


え。ちょっと、あの二人いつの間に仲良くなったの?

もっと言えばどうやって仲良くなったの!? そんな内緒話みたいにしてないで教えてよむしろ!


気付かれたらよくない、ような気がして、鋼鉄で出来た車両の陰に身を滑り込ませ、顔だけを半分出して様子を覗き見る……完全に変質者よね。見咎められたらなんにも言い訳出来ないわ。


とはいえ、会話の内容が気になる好奇心も抑えておけない。

それはルナも同様らしく、アタシの肩に手を置いて、同じく二人の様子を窺っている。


「んー……聞こえない……」


「流石に遠いものね」


「でも、なんだか仲良さげだね? ちょっと意外かも」


「マイペースな者同士気が合うのかしら……」


全容が把握できないので仕方なく遠目の印象だけを話し合ってみる。

……そんなアタシたちの背中に、不意に声が掛けられた。


「おいお前ら。何を妙な格好をしている」


「――!??!?」「アーちゃん、しー……っ!!」


飛び上がりそうになったアタシの口をルナが手でふさぎ、人差し指を口元に当てる。


「い、イルミオーネ様、なんでここに……」


「なんでも何も、風呂から上がって戻ってきただけだ。そうしたら貴様らが妙な格好で蹲っていたから、声をかけたんだろうが」


お風呂上りだからか、頬が上気して少しだけ赤らんでいる年若き女王がそう告げた。普段はきっちりと結い上げられている金髪は、ほんのりとした艶を湛えてベールのように下ろされている。


「何を見ていたんだ? ……なんだ、お前らのとこの響心魔装とダリアじゃないか。随分と親密なように見えるな」


「……そーですね」


思わず不機嫌そうな声音で答えてしまう。イルミオーネ様の目にもそう見えちゃうかー……

アタシよりもずっと、リラと仲良さそうなダリアさんに嫉妬しているみたいだ。


……なんかモヤモヤする。あーもういっそ二人のとこ行ってみようかしら。

そのまま勢いでこう、腹を割った話が出来たり――


「よし――ぐぇっ」


意を決して身を乗り出そうとしたアタシだったが、何故か服の襟首が引っかかってそれが制される。


「おいおいお前何するつもりだ。やめておけよ、無粋な真似は」


「な、なにすんですか!」


「見て分からないのか? あれは『子供同士の作戦会議』だぞ。お前は確か、あの娘の製作者(おや)なんだろう。大人(・・)が割って入ったら野暮だろうが」

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