金・二・道④
「…………」
「夜中に一人で外出するとはぁ、イケないコですねぇー」
「……とおくには、いってない……もん……」
「まー、そこにシンカンセン見えてますけどねぇ」
「……なにか、よう……?」
「下手、ですねぇ」
「…………?」
「下手ですよぉ、イタズラの仕方がぁ。叱られて凹んでるようじゃまだまだですー。やると決めたら叱られるくらいは覚悟でぇ、もっと本気でやらなくっちゃあ。ま、直前の例を見て実行する行動力は悪くないですけどねー」
「……でも……」
「――怖い、ですかぁ」
「……っ」
「どこまでやったら本気で怒られるのか。心底嫌われてしまうのか分からない。ホントのホントに見放されるのが怖いから、思い切って絡めないー……んでしょぉ?」
「……なんで……」
「逆ですよぉ。逆逆。あなたくらいの子供だったらぁ、もっとワガママで面倒なのがふつーですー。余計な気を回して物分かりが良すぎる方が、可愛げが無いって嫌われますよぉ」
「……でも……リラは、ふつうの子どもじゃ、ない……から……」
「えぇー? あなたケモ耳ないじゃないですかぁ。ぱっと見変わんないですよぉ、そこらのヒトと」
「……そういうことじゃ、なくて……」
「フレア様製の響心魔装ってとこを気にしてんですかぁ? いやいや、むしろ正規のカリキュラムを経てる方が、カッチカチのマジメ魔装になりますよぉ。グゥイさんって人みたいにねー。ぜーんぜん分かってないですねぇー」
「…………」
「おや、ムッとしましたぁ? あのアイリスちゃん? に対してもそれくらいでいいのにー」
「……できないよ……」
「仲良くしたいならぁ、もっと、思ったこと言ってかないとダメですよぉ。さもないと……」
「……さも、ないと……?」
「どっかの誰かさんみたいにぃ、親に棄てられてー、魔導工房なんてゆー、見るからにうさんくさーいトコに行かされちゃうかもですよぉ? 『薄気味悪いガキだ』、ってねー」
「……それって……」
「まーその誰かさんはぁ、今は好き勝手やらせてもらえる主のとこで、のんべんだらりと日々を過ごせてるみたいですけどねぇー」
「…………」
「……じゃ、わたしも眠くなってきたんで戻りますねぇ。あんまり主の傍を離れるのもアレですしー」
「……待って……」
「なんですかぁ?」
「……なんで……こんなはなしを、してくれたの……?」
「……べっつにぃー。一人でくらーい顔をしてるあなたがぁ、昔の誰かさんを見てるみたいで、なーんかモヤモヤしたってだけですよー。それじゃ、おやすみなさーい」
「…………」




