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金・二・道②

アタシは立ち上がると、正面の操縦室に続く扉をノックした。


「グゥイさんグゥイさん。もうお昼ですし、ご飯にしませんかー?」


ややあって、金属製の扉が音も無く横にスライドし、グゥイさんが現れる。


「はい。いい時間ですし、昼食といたしましょう。後ろの座席に食料と飲み物をご用意しております。ご自由にお召し上がりください」


「な、オイ。このまま食せと言うのか? ガタゴトと揺れ動いて落ち着かないったらないんだが」


「申し訳ありませんが、夜間の睡眠時以外は極力走行状態を維持させて頂きます。一応は『緊急事態』ですので」


移動中の機器内での食事、という状況に慣れないらしいイルミオーネ様に、グゥイさんがきっぱりと言い返す。普段と変わらない冷静な表情に見えるけど、内心は一刻も早くフレア様のところへ駆け付けたい気持ちでいるんでしょう。


でもまあアタシは正直、未だに半信半疑なところあるんだけどね、その緊急事態っていうのに。


シンカンセンの出発直後、機内のスピーカー型魔導機器から、操縦室にいるグゥイさんが事態の概要を説明してくれた。


端的にまとめると、迷宮(ダンジョン)に向かったフレア様が戻らず、連絡が取れない状況だということ。


グゥイさんと入れ替わりにトレイユを後にしたフレア様は、ガランゾへ帰国すると同時に迷宮に向かったそうだ。まだ上層部を攻略していたと思われる時点では、ガランゾの大臣の人なんかと色々連絡が取れていたらしいのだが、それが本日未明に急に音信不通になってしまった。


迷宮を行き来する冒険者たちに聞き込みをしてみるも、出てくるのは音信不通になる以前の目撃情報や会話を交わした情報までで、連絡が取れなくなってからの証言が全く出てこない。


冒険者らの中でも最前線を攻略していた面々も同様だったことから、フレア様は一人最深部へ向かい、そこで何か(・・)があったのではないか、というのがグゥイさんたちの見解だ。


何か、と明言はしていないものの、状況的に考えられる選択肢は限られてる。


ガランゾの特異点たる迷宮の中で、フレア様が外部との連絡を取る余裕も無いような状況に陥る――


それはつまり、あの天壌紅蓮(てんじょうぐれん)を凌駕する戦闘力の魔晶個体が現れた、という可能性しか考えられない。


これがアタシにはイマイチ納得できないのよね。


だってあのフレア様よ? 神位魔術師の人ならともかく、魔晶個体ごときに(おく)れを取るなんて思えない。ううん、神位魔術師の方が相手であっても、そこまでの窮地に立たされる姿が想像できないわ。

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