表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
471/673

金・二・再⑨







「あれっ? アーちゃん、神位魔術師さん(そのひと)の遺体も連れて行くの? 氷漬けにしちゃって」


「ん。なーんか、リーとグゥイさんがね、フレア様に預けるから保存しとけ、ってね」


「……陛下ぁー。いいんですかぁ? わたしたちまでこんなのに付き合わなくってもぉー」


「いやダリア。コレはむしろ好機と捉えろ。あの鬼婆さえ手こずる案件に助力し、奴に貸しを作ってやるのだ! この先何十年と続く大きな貸しをな! フハハハハハ!! 奴が頭を下げ、手を貸してくれと泣いて頼む姿が目に浮かぶわ!!」


「なーんで失敗する可能性は考えないんでしょーねぇー、このマスターは……」


「皆様、準備はよろしいですね? ではこの機にご乗車ください」


「え、うそ! これって……!」


「初見でお気付きになるとは、流石はシロカゼサイガ氏の御令嬢。そう、これこそガランゾの宮廷魔術師と王室御用達の鍛冶師らが粋を集めて造り上げた、国家間直通高速移動艦――チキュウでは『シンカンセン』と呼ばれる機体です。まだガランゾ―トレイユ間にしか開通しておりませんが」


「お、おおお前たち……! 私の許可も無くいつの間にこんなものをッ……!!」


「フレア様に代わり、わたしがトレイユに赴くことになった時ですが?」


「ガランゾに帰りながら、直線の障害物を排除して道を作ったのね、あの人……」


「その通りです、アイリス様。またこの機はチキュウのそれとは異なり、魔素(マナ)を原動力に地表を滑るように駆動するため、車輪や動力線の用意が必要無いのです。この機であれば、人の足なら約三週間とされる距離が、なんと三日で移動可能になる」


「ハン。そんなものを動かす膨大な魔素、どこから用立てるつも、り……オイまさか」


「お話の最中に察するとは、成長なさいましたね。フレア様の特訓を受ける前のイルミオーネ様であれば、説明するまで思い至らなかったでしょうに」


「馬鹿お前それだけは止めろあれだけの魔素を集め直すのにどれだけの労力が必要か」


「残念。心魂奏者(サンファ)が蓄え、この城に残された魔晶回収の魔素。その媒体たる指輪の残二十七個全ては、既に動力核に装填済みです。もう駆動系に魔素が充填されている頃でしょう」


「あああああああああああああ!!!」


「あ、アハハ……グゥイさんったら結構容赦ないわねー」


「おいお前たち。もう動力核(エンジン)は十二分に稼働している。出るぞ」


「あ、ちょっと! 今乗るわよ待ちなさいって!」


「…………」


「……どぉーかしたんですかぁ?」


「……なんでも、ないー……」


「ふぅーん……なら、いいですけどねぇー」



「目的地は第三の特異点管理国ガランゾ。彼の天壌紅蓮(てんじょうぐれん)を脅かすほどの難題(トラブル)の攻略が目的だ。気を引き締めてかかれよ……さあ、出発だ!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ