金・二・再⑤
そのままたっぷり五分ほど包容を続けたグゥイさんは、「……お見苦しいところをお見せしました」と居住まいを正すと、アタシ・ルナ・リラを適当な客間に通してくれた。
アタシとしては、イルミオーネ様にライブのこととか話があったんだけど……なんかそういう空気じゃなかったし、言われてみればまだ夜中だしってことで、ひとまず身体を休めることになったのだ。
イルミオーネ様はというと、グゥイさんにどっかに引きずられて行ってしまった。話にあった地獄の特訓の続き、だと思う。
こんな時間に目覚めて暇を持て余すくらいに習慣付いてしまってるのは、彼女にとって良いことなのか悪いことなのか……
リーもグゥイさんと一緒に姿を消してしまったし、アタシたちの用も焦るものではないし、まあちょっとくらいぐうたらしてもいいわよね。
というわけで、王室御用達と見える、大の大人が優に三人は寝られそうな、絢爛豪奢なベッドに寝転んでいるわけなんだけど。
「…………」
仰向けに寝転んでボーッとしているアタシを、腹這いになったリラがずっと見てる。
「……リラ、どうかした? 何かあった?」
「……なんでもないよー……」
「そ、そう……?」
「…………」
何度か同じやりとりを繰り返してるけど、さっきからずっとこの調子。
落ち着かない。
どうしてか妙な緊張感を覚え、思わずリラとは逆方向に顔を背ける。
……リラみたいなマイペースで、何を考えてるのか分かりにくいタイプのコって、実はアタシはちょっぴり苦手だったりする。元宮廷魔術師っていう仕事柄、そもそも自分と同年代の子や年下の子とほとんど話したことが無いせいでもあるんだけれどね。
ユーハみたいに分かりやすいヤツとか、ディアナみたいに生真面目なコだったら話しやすいんだけど……気まずいわ。
そんなアタシの内なる声を聞き取ったのか、部屋の扉がガチャリと開かれる。
「ふ~、いいお湯でした!」
「あ、ル、ルナ。おかえりー」
「やっぱり王宮のお風呂って大きいね! 私たち三人一緒でも全然余裕ありそうだったよ。次は二人で入ってきたら?」
「え゛っ」
「? どしたの、アーちゃん」
「う、ううん、なーんでもないわ! ……じゃ、一緒に行きましょっか」
「……うんー……」
二人っきりの状況変わらないじゃない……ルナったら、悪気はないんだろうけど。
これなら三人で一緒に入っとくんだったわ……




