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あくまで法に則った布教活動をしております②

『そ、そんなことが可能だとは……今や、マスターの心素(エナ)は、かつての召喚者も至れなかった高みに達しているのやもしれませんね』


「それは分かんないけど……いやまあ、かなり強引な技だと思うよ」


実際こうして精神世界にいるから成功したと分かるけど、もし失敗していたら、多分術者である俺の精神だけが桜の扉から外に飛び出して、その辺をふよふよ漂う、みたいなことになったんじゃないかな。


んで、李は普通に動けてフルボッコみたいな。


ソウルドライブを一発食らわせたことで、李の精神が不安定だったおかげもあるかもしれない。

万全の状態で強く気持ちを保たれたら、純粋な精神力だけで弾かれた可能性もあっただろう。


『なっ……そんな危ない技を急に思い付いて発動しないでください!』


「はは、ゴメンて。でもディアナこそ、失敗するとはちっとも思わなかったから止めなかったんだろ?」


『……それはまあ、そうですけど』


ほーら見ろ。本当にヤバげな時はちゃんと止めてくれるもんな。

覚えてるぞ。ベロニカで言ってくれたこと。


さて。外で扉の維持に頑張ってくれているだろうリラのためにも、早いとこ用事を済ましてしまおうか。


目を凝らして周囲を見回してみる。

俺の時のようにきっと、この無限に続く闇のどこかに、李の抱える精神の核があるはずだ。


そこまで辿り着いて、あのことを伝えればきっと……


しかし。


「なんも見えないな……」


李の精神世界がとりわけ闇が深いのか、もしくは遥かな容量を有しているのか、暗闇以外の手掛かりが何も見つからない。


マズいな。当てずっぽうで探すのは流石にしたくない。仮にも精神世界だからな。

部外者が土足で歩き回って何らかの影響がないとも限らないし。


俺の時のように、アイリスなど外にいる人間が道標を示してくれるわけでも無いし……どうしたものか。


腕を組みながら唸っていると、不意に二の腕当たりの服を誰かが引っ張る。


「マスター、こちらです」


「ディアナ?」


銀白の相棒の声は頭の中で響くのではなく、服を引いている誰かのいる方角から聞こえてきた。

どうやら、俺の内側から出てきて人の姿を取っているらしい。かなり近くにいるだろうにぼんやりとしか見えないけど。


「分かるのか?」


「おそらくですが……こちらの方から、微弱な心素の波動を感じます」


「そうか。じゃあ、行こう」


「はい」


響心魔装(シンクロ・デバイス)であるディアナの方が、心素を感じ取る感覚の精度は俺より高い。その感覚に頼った方が、当てずっぽうで進むよりずっと確実だ。


服を引っぱるひんやりとした小さい手を右手で取り、俺はディアナに手を引かれる形で暗闇の中を歩きだした。

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