表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

399/673

揃いのアイテムって戦隊ヒーローしか持ってない気がする⑯

「マスター!」「ユーハっ!」


男性の背後から、ディアナとアイリスが同時にタックルを仕掛けた。それによって、倒れ伏す俺とサンファを狙った男性の拳が逸れ、地面へと吸い込まれる。案の定というか、地面が揺れるほどの衝撃が響き渡り、俺の身をも震わせた。


タックルの衝撃で相棒の髪からヘッドドレスが外れ、地面にカラン、と転がってルナちゃんの足元へ滑っていくのが見えた。銀白色の彼女の髪と同じ色をした、ディアナの獣耳が露わになる。


それを目の当たりにした男性が、目をくわっと見開いてディアナを見た。


「……響心、(シンクロ・)魔装(デバイス)! お前たちも、この外道の術中に嵌った者か」


地面を穿った拳を引き抜いた男性が、声に驚愕の色を滲ませる。

俺は今しかないと思い、倒れたサンファをそのままに立ち上がって、男性の声に答えた。


「あ、ああ、そうだ。俺とアンタは同じ召喚者(ぎせいしゃ)だ。だから少し落ち着いて俺の話を――」


「では何故、お前の傍らには相棒の姿がある?」


「……え?」


対話のために落ち着くよう求めた俺を、男性の冷え切った声音が一蹴する。

次の瞬間、先程までクソイケメン魔術師に向けられていたのと同じ、強い怒気を孕んだ視線が俺にも向けられる。


「何故その男を庇う?」


「いや、これはついって言うか……」


「……そうか、貴様もか」


「な、なんだって?」


「貴様もこの外道の手の者だなッ!!」


「ちょ――っ!?」


違うよ! どっちかって言うと俺もあんた側で、こいつは敵でしかないんですけどー!?


と、俺が弁解する間もなく、一瞬で男性が俺の懐まで踏み込んでくる。固く握り締められた拳には、単純な力以外にも人一人を破壊するには充分過ぎるだけの心素(エナ)が込められているのが分かった。


まずい。俺は自分の胸に向けて一直線に突き出されてくる拳をスローモーションで眺めて悟った。

直撃したら最後、骨は砕け内蔵は破裂し、俺が容易く絶命するだけの威力が、この拳にはあると。


俺は迫り来る必殺の拳を睨みながら、男性の後ろで立ち上がろうとする相棒と目を合わせた。


それだけで意を汲んだディアナの獣耳がピンと立ち、瞬時にその身を夜色の粒子へと変じさせる。


一瞬の刹那ののち、ガギィィィン!! という耳をつんざく音と共に、俺の両手に、涙が滲みそうになるほどの振動が伝わってくる。


『っく……! マスター、ご無事ですか!?』


「ああ! ディアナも大丈夫か!?」


男性の拳が炸裂するその寸前、夜剣へと変じた相棒で、俺は辛くも必殺の拳を受け止めた。

刃を立てるように受け止めているというのに、男性の拳には裂傷どころか擦り傷さえも見られない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ