再びの召喚特典⑥
「ううおわっ!?」
無防備な背中を狙って放たれた雷纏う掌底を、俺は倒れ込むように無理な姿勢で何とか回避する。
寸前まで後頭部が通り過ぎた位置を、手心など一切ないと分かるハーシュノイズの右手が通過した。
「ギャハハ!! なんだオイ、サンファをヤった奴にしちゃどんくさい動きだなぁ!?」
「いきなり何すんだ!」
「オラオラ本気見せてみろよぉ!」
目の前で楽しそうに笑う青年の姿が、その場でバチッと閃いた雷の光にかき消える。
『マスター、上です!』
「雷樹ッ!」
そして瞬時に死角に出現したハーシュノイズが、右手の掌底に集めた青白い雷を、俺目掛けて振り落としてきた。
ディアナの声に反応し、攻撃位置を見る間も惜しく今いる場所を飛び退く。
グラウンドの固い地面に俺が腹ばいになるのとほぼ同時に、ごく近い背後に飛来した雷が凄まじい音を轟かせた。
「まだだ、ガキッ!」
な、にっ!?
着弾と同時に消え去ったとばかり思っていた雷は、未だその場でビカビカと光り輝いていた。
放出源であるハーシュノイズの右手がより一層の魔素を宿したかと思うと、その魔素を得た雷が、グラウンドの固い地面の下から、数本の束となって俺の方へ向かって来た。
さながら急成長する植物の根にも似たその光景に、慌てて俺は立ち上がり、全力で駆け出す。
ヤバいヤバいヤバい! あの野郎何のつもりか分からないけどマジだ!
こうなったら、他の人に見られて目立つかも、なんて心配はしてられない!
覚悟を決める。俺はその場で反転し、追いすがる雷の根に対して振り返った。
「ディアナ!」
『御心のままに!』
相棒の声が心地よく応じ、胸の奥で一度、ドクンと鼓動が高鳴る。
全身から夜色の粒子が溢れ出し、伸ばした俺の右手で集う。
『……魔装形態、夜剣への変換を完了しました!』
異世界での苦難を共に乗り越えた、銀白の少女が変じたその頼もしい姿を、力強く握り締める。
相手は見るからに戦闘狂。どうやらあのクソイケメン魔術師のとばっちりを受けているような気がするけども……
ここで下手に怪我でもして、明日のライブに支障を出すわけにはいかねーんだ!!
そんな揺るぎ無い思いを込め、俺は右手の夜剣へ心素を込める。
声で呼びかけるまでも無く、剣を振り抜くと同時、俺とディアナの声が重なる。
「『――闇夜神路!!』」
「おおッ!?」
放たれた夜色の波動が、地面をえぐりながら迫りくる雷の根を蹴散らした。波動はそのまま直進し、大元である雷そのものに命中。雷と共に霧散する。
予想外の反撃だったのか、ハーシュノイズの顔に小さく驚愕の色が浮かぶ。
俺は中空の青年を睨み、夜剣を構え直した。
「じゃあ、行くぞ、ディアナ!」
『はい、マスター!』
何が何だかよく知らないけど……とにかくこの場を切り抜ける!




