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再びの召喚特典⑤

「そのムカつく顔を!! 殴りに来てやっ、た、ぜ……あ゛ぁ゛? 誰だお前?」


「……こっちのセリフなんだけど」


耳が痛くなる程の大声で指を突きつけてきた男性は、言葉を徐々に尻すぼみにさせて眉を顰める。

そのリアクションも俺の方がするやつじゃないか。


誰だよアンタ。エーテルリンクにいたときも会ったことないよな?


『風と雷の加護を受けた神位魔術師……まさか、破天風来(はてんふうらい)……!?』


俺の疑問に答えたのは、眼前の青年自身ではなく、脳内に響いた相棒の声だった。


ディアナ知ってるのか?


『はい。月の魔道工房(ムーンファクトリー)で教えられた情報の中にありました。神位魔術師の中でも年若き一人。風の神エアリベルの加護を受けた、自由奔放な魔術師……』


その神位名を、破天風来――ジフ・ハーシュノイズ。


……目の前で浮かびながら暴風を吹き荒れさせる姿は、いろんな意味でその神位名を正しく表しているように思えた。周囲の迷惑など省みない自由さという意味でも、晴れ渡る青空をぶち破りそうな勢いという意味でも。


ディアナ曰く、ハーシュノイズという名の神位魔術師は、どこか拍子抜けしたような表情で後頭部をポリポリと()いた。


「っかしーな。この辺りの魔素(マナ)多めの奴といやあ、てっきりあのクソ狐だと……やっぱお前から感じるな。ガキ、ナニモンだ」


「……篠崎悠葉」


「あ゛ー? 名前なんて聞いてねぇよ。俺の千風(サザンレイズ)にも、雷樹(サンダーブレンチ)にもビビッてねぇ。チキュウ人にしちゃバカに多い魔素(マナ)量。ただのガキじゃねえだろ」


そこまで自分で発言しておいて、ハーシュノイズは合点がいったように中指を鳴らす。


「あー! 分かった! お前がサンファをヤったガキだな!?」


言い方よ! 倒したとか退けたとか他にもっとあるだろーに! あのダリアとかいう響心魔装(シンクロ・デバイス)の人もそうだけど、ちょっと含みのある言い方しか出来ねーのかエーテルリンク(あっち)の人は!


……スプリングロードゥナ辺りから聞いたんだろうか。

しらを切りたいところだが、どうにもこの人は俺の中のディアナの魔素を察知してここまで来たみたいだし、とぼけきれそうにもない。


ていうか何しに来たんだ……さっきの発言からするに、ろくでもなさそうなことっていうのは間違いないけど。


「あーナルホドナルホド! そうか。よし」


ハーシュノイズは、中空で浮遊したままうんうんと頷いたかと思うと、俺が瞬きをした一瞬で姿を消し――


「お前でいいや。ちょっくら付き合えよ」


雷が閃く程の速さで俺の背後に回り、バチバチと雷光の弾ける掌底を俺へ向けて繰り出してきた。

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