再びの召喚特典②
俺の体力の無さへの信頼は、言い換えれば、体育の時間における活躍場面の少なさは、外ならぬ俺が誰より知っているんですが!?
自分自身を信じられないまま教師のいる待機地点へ戻る。
異様なものを見る目線のままではあるが、そのまま何も言われないということは、やはりディアナの言う通り俺は指定の周回数を走り終えていたということなんだろう……
え、なんで? 俺何かした? 実は月神舞踏状態だったりする?
忙しなく身体を見回すが、先刻着替えた学校指定のジャージ姿で間違いない。
えぇ……原因分かんないのこわ……
『あの、マスター。何故か戸惑われているご様子ですが、特にマスターの身体能力に、大きな変化は無いと思いますよ?』
困惑し続ける俺の脳内で、やや呆れ気味のディアナの声がこだまする。
そうなのか……?
『はい。無論、魔晶回収の旅で成長はしているようですが……トレイユの霊山でマスターと出会った時から、大きくは変わっていないかと』
そうか、エーテルリンクに召喚させられた直後のあのあたりから変わって、ない……
ちょっと待て。
俺の記憶の中、ディアナの言葉が引き金となってある言葉が思い起こされる。
それはあの悪夢の始まり。召喚を受けた当日のこと。
――まあ、異世界人の君の身体能力はそもそも高いんだけど、この世界に召喚された際に底上げもされてるはずだから――
この世界に召喚された際に底上げもされてるはずだから。
そうニッコリと微笑む、クソイケメン魔術師の顔を思い出した。
こ、これが原因じゃないか!?
確かに言っていた! 俺を強制的に召び出した玉座の間で、召喚特典として、地球人には身体能力の向上がされるって!
いやいやでも待て! 今いるのはエーテルリンクじゃない。地球だぞ!?
帰ってきたことで、その召喚特典は無くなってないのか!?
根拠に辿り着き、続いて閃いた俺の疑問に、首を傾げているような相棒の声が答える。
『はあ……先日のサンファ氏の魔法陣には、特別そのような術式は見られませんでしたが』
え、じゃあ、召喚特典の身体能力向上は、消そうとしなければ消えないものなのか……
それって、魔晶回収が終わって地球に帰った時、そのギャップにみんな苦労するやつじゃ。その辺の配慮とかしてないのかあの野郎……そこまで考え、そもそもサンファは、地球人の心素を狙って一人も逃がす気無く召喚を繰り返していたのだと気付く。
魔晶回収まで保てばいいとばかりのやっつけ仕様だな、あのクソイケメン。




