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再びの召喚特典①

『――スター? マスター』


「……んぁ? あれ、ディアナ、呼んだ?」


『はい。もう規定の周回は終了しています。ゴールを過ぎていますよ』


「っと、いけね」


脳内に響いた相棒の声に、俺は急ブレーキをかけて通り過ぎていた白線を振り返った。

先生に呼び止められる前に、あたかもクールダウンの助走ですという風を装って、集合地点に戻る。


お昼休み明けの五時限目は、時間割通りの体育の時間。うんざりする長距離走の予定だった。


開始の号令が鳴るや否や俺は心を閉ざし、ひたすら無心でグラウンドを駆ける機械と化した。


中学の時からずっと思っていたのだが、体力測定の意味もあるとはいえ、長距離走って飽きるよな。

ずっと同じ場所を何周もするだけだし。いつも通っている学校だから景色も変わり映えしないし。つまんない。


俺の運動神経が壊滅的なのは今更取り上げるようなコンテンツでもない。別に記録には頓着しないし、途中でぶっ倒れたりしないようにマイペースでトロトロ走るだけだ。どうせ俺が一番最後なんだろうし。


そう考えて、何十分の走行時間を無心で走っていたわけだ。


さて、俺が走り終えたということは授業も終盤……あれ。

待機場所に戻る俺の目には、予想に反して、先に持久走を終えたクラスメイトの姿が一人も無かった。そこに居るのは、信じられないものを見るような目をした体育教師の姿のみだ。


グラウンドに目を向けると、そこには未だ白線の周囲を回り続ける男子生徒らの姿。彼らも皆一様に、体育教師と同じ目つきをしている……その目で、俺を見ている。


二クラス合同の男子生徒三十人弱の中、最初に走り終えた、俺を。


うっそ。


待機地点に戻る手前で立ち止まり、教師の方に背を向けて俺は相棒に呼びかける。


ディアナ、ディアナ。周回数間違えてないかこれ。


『いえ。開始前に教員の方が仰っていた数の通りですが……』


確か六周だったよな。三周くらいで俺のこと止めてやしないか。


『いいえ、しっかり数えておりましたので、今のマスターは六周目で間違いありません。何よりマスターは、スタート直後こそ最後尾でしたが、先を走る方々を徐々に抜き去り、一周ほど差を付けてゴールしております』


うっそだろ!!


や、ディアナが嘘ついてるとかってことじゃないんだけど、え、でも、そんなことあるか!?


ペース配分すら下手なまま途中で倒れることすらあった中学時代から、ろくに体力づくりもしてないんだぞ!? それから半年ちょいしか経ってないんですが!?

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