ボスモンスターの攻略法⑤
話は簡単だ。闇夜神路に竜が気を取られている間に、俺は奴の頭上へと跳躍。額の角目掛けて再び波動を発射しただけだ。
俺がディアナに言外で問いかけたのは、「月神舞踏でもリ・ディアセレナってやつ使えるか?」という一点だったというわけだ。
あの波動に、首長竜は僅かながらにも手傷を負わされた。
その攻撃が目の前で不意打ちで向かってきたら、誰でもそっちを何とかしなくちゃって思うものな。視界に今は見えていない敵の本体まで、気が行かなくなる。
あいつにも知性があることが分かったからできた作戦だった。……上手くいってよかった。
外殻たる氷の角を失い、魔晶の姿が再びあらわになる。俺は急ぎ、光を溢れさせる竜の額に着地した。
着地と同時に、ディアナの強化スーツを解除。一つ目の変身形態、夜色の剣へ変身してもらう。
『魔装形態、夜剣への変換を完了しました』
「よし……せぇ、のっ!」
慣れない手つきで振るう剣先で、魔晶が埋め込まれている竜の額を切り裂いた。
直後、壮絶な悲鳴が足元から立ち上り始めた。予想はしてたが、想像以上の絶叫だ。耳が痛い!
「ディアナ! 急いでくれ!」
『はい』
全然急いでるように聞こえねーなオイ! 常の冷静沈着なトーンのままなディアナの返答に胸中でツッコむ。が、それとは裏腹に、一瞬で俺の身体は再び夜色の強化外装……月神舞踏に包まれた。
急げ! 今度は自分自身に言い放ち、ハンドボールほどの大きさの魔晶を小脇に抱え込む。大きめの魔法陣を展開――跳躍!
そうして、無事に俺たちは竜の額から離脱できた。痛みに暴れ始めた竜の姿と、悲鳴が遠ざかっていく。




