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この子にしてこの親あり②

「た、ただい、まー……」


扉をゆっくりと開きながら、小さく帰宅を告げる。


玄関には見慣れた父の革靴や、母のハイヒールが並んでいる。そのまま伸びる廊下の先はリビングへ通じているのだが、ガラス越しに、明かりが点いているのが分かった。


今の言葉は、奥に届いているかどうか微妙だったな……声が小さすぎて。


母が朝食の支度でもしていたらきっと聞こえないだろう。そう思い、気恥ずかしさも感じながら再度俺が帰宅を告げようとした時だった。


廊下からリビングへ通じる扉が、バタン!! と強い勢いで開かれたかと思うと、一人の女性が髪を振り乱しながら、勢いよく俺に抱きついてきた。


「ゆ、悠くん! 悠くんよね!? ホンモノ……偽物じゃ、私の夢じゃないですよね!?」


「か、母さん、苦しい……」


亜麻色のボブヘアーを振り乱し、俺を締めつけ続けるその人は、約一ヶ月ぶりに再開する俺の母、篠崎 渚その人だった。


「もう……! 今まで、どこにいたのよ……! 母さんも父さんも、すっっっごく、心配、したんですからね……!」


この様子からも分かる通り、たまに母さんは過保護なところがある。もう俺も高校生なんだから、そこまでしなくても、と思うことがよくあった。


毎朝学校に行く前に、ハンカチティッシュを忘れていないか聞いてきたり、料理の手伝いをしていて、俺がちょっと指の先を切っただけで、見てる方が落ち着かなくなるほどに慌てふためいたり。


……そうだよな。そんな母さんが、俺を迫害したりするわけないよ。


「……ごめんなさい。それと、ただいま」


「……おかえりなさい!」


俺を抱きしめながら涙を見せる母親に、俺は謝罪と、確かな帰宅の言葉を伝える。


その言葉に母さんも、涙を浮かべながらも笑顔で返してくれたのだった。

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