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この子にしてこの親あり①

俺の家は、転移した公園を出て閑静な住宅街を抜けた先にある、十階建てマンションの一室だ。まだ早朝ということもあり、マンションの入口付近には人気は無い。


見慣れた外観に一瞬だけ懐かしさを感じたあと、今の内に早く中に入るよう、ディアナたちを促す。


……改めて見ると、やっぱ目立つよなあ。


銀髪狐耳の美少女と、金髪モデル並みのスタイルを持つやはり美少女と、長身かつ芸能人顔負けのビジュアルのイケメンって。日本の一般住宅とは、なかなか相反しそうな顔ぶれだよ。


それを引き連れる俺も目立ってしまうかもしれない。

ご近所さんに変な目で見られる前に早いとこ家に帰らないと。


階段を足早に上り、七階で廊下に戻る。

そして、『704』とネームに書かれた扉の前で、俺は立ち止まった。


「ここがユーハの家族の部屋なの?」


「ああ」


アイリスの問いに頷き、俺は扉の横に取り付けられたネームプレートへ視線を移した。


そこには俺たち家族の名前が、横書きで縦に並んで記されている。達筆な漢字表記の字は、父の手によるものだ。


それを見て、再び胸に湧き上がりかけた緊張感を、深呼吸することで落ち着ける。


……よし。


ドアノブに手をかける……開かない。まあ時間も時間だし、鍵してるよな。もう起きているとは思うけど。


肩に提げていたスクールバッグの中から家の鍵を取り出す。普段はズボンのポケットに入れているのだが、エーテルリンクに巻き込まれた時、落とさないようにこっちに入れていたのだ。


一ヶ月ぶりに使用する鍵は、引っかかったりすることなくすんなりと鍵穴に吸い込まれた。右手をひねると、ガチャン、という錠前が開く音が聞こえてくる。


ディアナたちに目配せする。サンファ以外の二人は頷き、先程話しておいた通り、俺が両親に話をつけるまで少し待機してもらう、という指示を理解している返答をしてくれた。


クソイケメン魔術師だけは唯一、いいからさっさとしておくれよ、とでも言いたげな視線を向けていたので、スネに軽く爪先を蹴り込む。


「ウッ」と短く悲鳴を漏らして蹲る魔術師をそのままに、俺は思い切って扉を開けた。

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