ボスモンスターの攻略法④
勢い絶えず迫りくる氷塊を、これまでは横っ飛びで旋回するように回避していたが、唐突に真後ろへと飛びすさって躱す。
速度はそれほどでもないが、照準だけは正確だった首長竜の氷弾は、やはり狙いを違わず俺の元いた空間に着水し、大きな水しぶきを上げる。竜の視界から、ほんのわずかな時間、俺たちの姿が見えなくなる。
――今だ。
「闇夜神路!」
その言葉と同時に俺が右足を蹴り上げると、先ほど施設からの反撃を齎した夜色の波動が再び放たれた。
波動は水しぶきを突き破り、狙い違わず首長竜のもとへと飛翔する。
流石の竜もこれには警戒心をむき出しにせずにはいられなかったようだ。あからさまに目の色を変え、周囲にどんどんと増加していた氷弾を、一挙にマシンガンの如く波動へと撃ち込み始めた。若干、闇夜神路の勢いが削がれたように見える。
竜が氷塊を生成、発射する速度が目に見えて早くなり、もはや秒間いくつ発射しているのか皆目わからないほどになった。やはり先ほどまでの氷弾による攻撃は様子見に過ぎなかったのだろう。
先ほどは僅かながらも竜へと傷をつけた闇夜神路も、そのときとは比べ物にならないほどの量の弾丸を至近で浴びせられては、ひとたまりもなかった。
あと少しで竜へと届くかというところで、夜色の波動が力尽きて霧散する。気のせいか、首長竜に安堵の表情が見えたように思える。
――直後、竜の頭上から飛来した二発目の闇夜神路が、魔晶を覆う角を根元から刈り取った。




