表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

318/673

神位を超える心意⑩

だろう? と目配せするスプリングロードゥナ。視線を向けられたクソイケメン魔術師は、気に入らない様子で鼻を鳴らしたが、以外にも素直に続ける。


「……まあ、そうだね。魔装形態(デバイスモード)を展開出来たとはいえ、まだ自我が表出して何分も経っていない。その眠気は覚醒してすぐに戦闘したことによる反動だよ。体調が安定するまで、武具のままでいるのが賢明だと思うね」


ま、それもじき馴染むだろうけど、と解説するサンファ。

今までの経験から、コイツの言うことを鵜呑みにしてしまって良いものか悩むが、一応設計者でもあるからな……ここは信用しとくか。


「リラ、辛いなら無理するな。ゆっくり休んでいいんだぞ」


「……ん……じゃあ、そうする……ね……」


尻すぼみになっていったその言葉と共に、少女の身体が桜色の帯へと解ける。

粒子は、俺の腰に下げられた鞘へと集まり、そこには見慣れた短剣が静かに収まっていた。


『おやすみなさーい……』


脳内に響き渡った一言を最後に、穏やかな寝息が聞こえてくる。次第にその寝息も遠ざかっていき、やがて静かになった。


今回の功労者である短剣を優しくポンポンと叩き、さてどうしたものか、と俺はふと思案に耽る。

このままだと余っちゃうな。リラがどれくらいで回復するかにもよるけど。


そんな俺を余所に、スプリングロードゥナが半ば強引にサンファを担ぎ起こしていた。

いよいよ異世界転移の魔法陣を準備させようとしているようだ。


サンファは盛大に溜め息をつきながら、渋々と言った様子でその場に魔法陣を描き始めた。

それを確認した黒髪の女王は、玉座の間の入口付近で遠巻きにこちらの様子を窺っていた兵士らに、大声で指示を飛ばす。


「おいそこのお前ら! この城のどこかに予備の魔晶か、その魔素(マナ)を納めた媒体があるだろう! ありったけ持って来い!」


えっ。


おいおいこのクソイケメン野郎、あんな全力全開っぽい攻撃してきたくせに、奥の手まで取っといてやがったのかよ!


俺と同じ感情を抱いたらしいアイリスが、呆れにも近い表情で驚きを露わにする。


「そんなの隠してたんですか!?」


「そりゃあ、あるだろう。いざというときの予備戦力という意味でも、国としての奥の手という意味でもな」


「あーあー、次の召喚のための動力にする予定だったのになあ。こんな使い道をすることになるなんてなあ」


「ボヤいてないでさっさとしろ!」


ハイハイ、と言いつつも、ぶつくさと愚痴りながら手を進めるサンファ。こいつ結構余裕あるよな……


……あ、こいつという手も。いや、でもなぁ……うーん悩む。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ