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神位を超える心意⑦

は? という言葉が聞こえてきそうな顔つきで固まった魔術師と、離れたところで「言うと思った」とでも言いたげな表情を見せる少女たち。そして黒髪の女王は、腹を抱えて笑い出した。


「ふ、ふふ、あっはっはっは! そうだよな、お前はそういうヤツだよな!」


「……そんな笑われるようなこと言ってないと思うんですけど」


あんまり大爆笑されると、ちょっとムッと来るぞ。こっちは最初から最後まで真剣なんだ!

ホラ外見てみろ! もう夜明けの朝日が見えてきてる! 夕暮れ時のガランゾからトレイユへ突貫して、気付けば徹夜してしまっていたのだ。


それはつまり、ルナちゃんのライブ本番までいよいよ残り四日まで迫ってしまったってことだ!

今日の睡眠時間を確保するとしたら、実質三日だぞ!? 時間が!! コール練習の時間がなくなる!!!


そんな俺の焦りが伝わっているのかいないのか、ようやっと笑い声を抑えたスプリングロードゥナが目元を拭う。えっ、涙が滲むほど? この女王笑い過ぎでは?


「ああ、いいだろう。ここからは私たちの世界の話だ。お前は地球に帰るといい」


「さっすがフレア様話が分かる!」


「お、おお……なんだか今更お前にそう呼ばれると違和感しかないな」


色良い返答を貰えて高揚する俺に対し、若干ヒくスプリングロードゥナ。それだけ嬉しいってことだよ分かれ。


「おーいみんな集まれー帰るぞー」


言及されて気恥ずかしくなった俺は、それを誤魔化そうと遠くの少女三人に顔を向けた。

遠足を引率する先生の気分で、腕を上に伸ばして手招きすると、ディアナ達が近づいてくる。


そんな俺の脇で、膝を折ったスプリングロードゥナがサンファへと語りかけていた。


「と、いうわけだ。尋問はまた日を改めることにしよう」


「……本気かい。あの天壌紅蓮(てんじょうぐれん)ともあろう者が、随分と情け深い扱いじゃないか。余程あの少年を特別視していると見える」


「それはそうだろう。理由はどうあれ、私と貴様、二人の神位魔術師を下すほどだからな……それに勘違いはするなよ? 貴様を見逃すわけでも、酌量の余地を残したわけでも無い。ちゃんと首輪は付けるからな」


首輪? そのワードに気になった俺が、再び視線を二人に戻すと、黒マントの裏側に手を突っ込んだスプリングロードゥナが、つるりとした真っ白な円環を取り出した。


スプリングロードゥナの魔素(マナ)に反応して、電子基板の回路のように張り巡らされた魔法陣が、薄緑色にぼんやりと発光している。

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