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神位を超える心意⑥

「さて、と。ユーハ、ちょっと来い」


「ん」


話を一区切りさせたスプリングロードゥナに促され、俺はうつ伏せで横たわったままのクソイケメン魔術師の下に歩み寄る。


俺たちの最後に放った心技の衝撃波は、サンファの倒れ伏す床にも深々と十字の傷跡を残していた。

白いローブのようなサンファの服もボロボロだ。


「おい起きろ。気は付いているだろう」


ピクリとも動かない魔術師の頭を、スプリングロードゥナが遠慮なく蹴飛ばす。容赦ねーな……

俺でも流石にそこまでするのは憚られる、と声には出さずに思っていると、足蹴にされた魔術師のうめき声らしきものが足元から聞こえてきた。


「……フン……もう少し油断してくれれば、逃げおおせる隙もあったというのにね……」


「貴様の人となりを知っておきながら背後を見せられるわけないだろう」


「おやおや……随分と、敵視されたものだ……ゴホッ」


覇気の無い声音に、時折咳が混じっている。未だに立ち上がる素振りさえ見せないことからも、どうやら相当なダメージが残っているようだ。


相対的に威力は低かったかもしれないが、三界・闇夜神路リ・ディアセレナ・トリニティの直撃を受けても割とすぐに復活したスプリングロードゥナは、やっぱ戦闘が得意と聞くだけあって防御力高いんだな。対してサンファは、この女王ほど頑丈ではないらしい。


満身創痍にしか見えないクソイケメン魔術師にも一切警戒心を緩めないスプリングロードゥナが、奴へ向かって更に一歩詰め寄る。


「さあ、洗いざらい吐いてもらうぞ。この魔晶回収のサイクルを経て集めた心素(エナ)で、一体何をしようとしていた? マリーネをはじめ、エーテルリンク全土に精神操作を施すまでして成そうとした、貴様の目的は何だ?」


サンファの顔の真ん前に槍の石突を突き立て、スプリングロードゥナが追及の言葉を述べた。

その、有無を言わせない迫力に、やや離れたところで無邪気にはしゃいでいたディアナ達三人も、思わず神妙な面持ちでこちらに視線を向けている。ああいや、唯一リラだけは眠たげな表情が変わらなかったが。


疲労が色濃く残る顔で女王を見上げる魔術師が、観念したように嘆息した。


「……やれやれ。この状況下じゃあ、口を(つぐ)むわけにもいかないか――」


「はいストップ」


俺は、口を開きかけたサンファの言葉を制する。話を遮られたことに訝しげに、いやどこか不満げな表情の魔術師が睨みつけてくるも、俺は動じない。


「その話って俺関係ないよね? 先に帰らせてもらっていい?」

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