表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

306/673

夜と共に駆ける者⑫

次の攻撃が、サンファの全霊の一撃であるだろうことが、俺にも肌で感じられた。


あれに対抗するには、あの技(・・・)しかない。


「ディアナ、アイリス!」


『はい!』「分かってるわよ、っと」


背を向けたアイリスは、夜剣状態のディアナを携えたまま俺に背を預ける。

背後から金髪の少女を抱き込んだ俺は、アイリスの手の上から夜剣の柄を握り込んだ。


二人の心素(エナ)をディアナへと集め、重ね、一つに溶かす。


三人の呼吸を合わせていく――


……その先で、サンファの注ぐ魔素(マナ)と、魔装(デバイス)らが研ぎあげる心素(エナ)が、共に最高潮に達しようとしていた。その身に絡みつく魔装たちが口々に同じ言葉を発し、あたかも輪唱のような声音が響き渡る。


魔素接続(アナザーアクセス)、過剰承認」「響心(シンクロ)率、三〇〇パーセントに到達」

状態(ステータス)響心過剰(シンクロオーバー)へ移行」「練度昇華(アビリティグロウ)――」


後から遅れて続いていた言葉たちが、少しずつ最初の言葉に追い付き、締めの一言で全員の声が揃う。



「「「「「「「――ソウルドライブ」」」」」」」



式句に伴い、集められた魔素と心素が膨れ上がった。

最早俺の目にも補足しきれないほどに絶大なエネルギーが、魔装たちの身体で交じり合い、再びサンファの下へと一つになる。


「消えろッ! その身を愛した、創造神の名残と共に!!」


全てのエネルギーをその身一つに宿した魔術師が、憤怒の形相と共に、叫んだ。



天空を覆え、(アンダー)母なる大地(グラウンド)――!!!」



サンファの眼前の床が、ヒビ割れた。


亀裂は瞬く間に広がり、床を裂き砕き、ここが城の中とは思えない量の瓦礫と石柱が生まれる。そして亀裂の内部から溶岩が溢れ出で、瓦礫と混じって灼熱の奔流となり、全てを飲み込み向かって来た。


……触れただけで絶命は必至。

でも、俺たちに退く選択肢は無い!


「これで最後だ。ここを乗り越えて、全部終わらせて、行くぞ!」


『みんなで、一緒に……!』


「ルナのライブに、ね!」


前置きも無く再確認するその言葉に、俺たちの意思が一つになる。

三人の心意を纏う夜剣を振り上げ、心を合わせる。


生命回路(アライブライン)三鏡構造(トライフラクタル)を形成。闇夜神路(リ・ディアセレナ)練度亜変(アビリティシフト)――成功、しました!』


ディアナの声が脳内でこだまする。


……溶岩だろうが神位魔術師だろうが、関係ない。

何が相手でもこの一振りで乗り越え、俺たちは、ルナちゃんのライブに行くんだ!


迫りくる奈落そのものへ、全てを込めた夜剣を、振り下ろす――


「「『三界・闇夜神路リ・ディアセレナ・トリニティ!!!』」」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ