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夜と共に駆ける者⑦

()ッ……!」


黒のローブが破け、(だいだい)色のワンピースに血が滲み出す。


『アイリス様っ!』「待ってろ、今行く!」


方向を真逆に転換。あらん限りの心素(エナ)を両脚に、音すら置き去りにするくらいの気概で夜色の魔法陣を蹴る――


「おっと、そうはさせないとも」


「っ!」


こちらをちらとも見ずに零されたその一言が、俺の行く手を阻んだ。


ついに一人の響心魔装(シンクロ・デバイス)が、今まさに魔法陣を蹴り上げようとした俺の右足首を捕らえたのだ。


見た目には俺と変わらない年頃に見える少女は、その細い腕のどこにそんな膂力があるのかと疑わざるを得ないほどの勢いで、俺を床へと叩きつけた。


「ぐ、っ!?」


叩きつけられた勢いが強過ぎたせいか、一度腹からバウンドした身体が空中で反転し、天井を仰ぐ形で倒れ込む。


今が絶好の機会とばかりに、先程の少女魔装(デバイス)を始め、続々と追い付いてきた魔装たちが俺にのしかかり、動きを押さえてくる。


「くそっ……! どけ、どいてくれ……!」


『このままでは……アイリス様!』


先程俺を取り囲んだうちの、十人程が俺にのしかかり、残りの二十人程はやや遠巻きに再び包囲を敷いていた。


必死にもがいてなんとか一人をどかしても、すぐさま控えていた二人が飛びかかり、俺を押さえ込んでくる、といったシステムを形成していた。


仰向けで寝転がった姿勢ゆえにどうしても力が入れ辛く、魔装たちを引き剥がすのに時間がかかってしまう。引き剥がした次の人員が補充される前に全員をどかしきる、ということが出来ない。


そうこうしている間にも、遥か遠くで、サンファの魔法に翻弄されるアイリスの姿が見える。

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