表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

296/673

夜と共に駆ける者②







「――殺せッッ!!!」


憤怒の形相に歪んだ魔術師が、右手の杖を俺たちに向かって突きつけた。

声高に告げられた指令に従い、周囲で待機していた響心魔装(シンクロ・デバイス)たちが一斉に飛び掛かってくる。


一気に十人弱の人影が、絶妙に抜け出る隙間が無いような間隔で迫り、更に数人が小さく跳躍し、中空から狙いを定めている。


「アイリス、しゃがめ!」


「っ! ハイっ!」


後方のアイリスが膝を沈めるのを背中で察すると共に、俺はその場で時計回りに旋回する。


「ディアナ!」


『はい!』


右手の相棒に心素(エナ)を送り込む。久方ぶりの息を合わせる感覚。

声を重ねる。


「『闇夜神路(リ・ディアセレナ)!!』」


円環状に放たれた夜色の波動が、迫りくる魔装たちをまとめて吹き飛ばした。


操られているだけで罪がない魔装たちを傷つけないよう、威力はそこそこにしたつもりだが、思った以上に勢いの強い波動が放出され、内心驚く俺。直撃した魔装たちがせいぜい気絶程度で済んでいる様子を見て胸を撫で下ろす。


「ディアナ!」


心技を放ち迎撃に成功したのを見て、アイリスが飛びついてきた。


『……アイリス様。ご心配をおかけして、申し訳ありません』


「そうよもう! 心配したんだからね! ……でも、ホントによかったぁ」


本当はディアナを抱きしめたかったのだろうが、今の彼女は剣の姿なので、俺も巻き添えにかき抱かれる感じになる。


くるしい。


「え? あ! ちょっと邪魔すんじゃないわよ!」


「無茶言ってんなよな……ほら、離れた離れた」


俺を巻き込んでいたことに気付いて喚くアイリスを引きはがす。今そんなことしてる場合じゃないだろうに。

ホラ見ろ。クソイケメン魔術師が遠目にも分かるくらいのヤバいオーラを放ってるぞ。


「またオマエの心素のせいか……! どこまでもどこまでも目障りな奴め……ッ!!」


呪詛でも吐き出しそうな顔を、左手でギリギリと握るように覆い、またしても情緒不安定な言葉を漏らすサンファ。「心核が二つも無ければ」とか「そもそも再びこの場に来たりしなければ」とか呟いている。


何を言ってるのか知らないけど、結局それについても、知るか、の一言を返そう。


「お前が間違えてただけだ、サンファ。覚えとけ。俺の相棒は、ディアナだ、ってな!」


魔装たちの迎撃で立ち止まった足を、再びサンファへと向けて動かす。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ