表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

287/673

糸目か細目の奴って大体黒幕⑤

「ちょ!? なに挑発してんのよ!? これ以上怒らせてどうすんの!」


「仕方ないだろ。本心なんだから」


小学生低学年染みた反論をした俺を、アイリスが咎めてくる。まあ確かに、怒り狂うサンファへ火に油を注ぐような形になったかもしれないけど、これっぽっちも後悔なんぞしてない。


それに――今のやり取りで光明が見えたこともある。


頭の狐耳を押さえていた両手を、無言かつ無表情で下ろすディアナの様子を見て、俺は胸中で一つの活路を見出す。


今のディアナは誰がどう見ても正気じゃなく、サンファの支配下にあると分かるが……きっとそれだけじゃない、ハズだ。


ディアナの正気さえ取り戻せれば、何とかなる。

そのためのタイミングを見計らうべく、生唾を飲み込んで再びサンファの様子を伺うと。


「……フフフフフ。こうまでコケにされたのは、初めてだよ。ユーハ君」


長髪を顔の前にダラリと垂らし、隠した表情の向こうでクソイケメン魔術師の声が絞り出される。聞いてるこっちが不安になりそうな、情緒不安定な声音だ。


玉座の間に訪れたときは普通に語りかけて来たのが遠い昔のことのように思える。この僅かな時間の内に、激昂して沈静化して……感情の上がり下がりが激し過ぎる。


今の、どちらかと言えば沈静化寄りの声音が、その後の大爆発を予言しているように思えてならず、俺は思わず身構えた。


その時、唐突にサンファが左手を伸ばし、音高く指を鳴らした。


音を鳴らした左手から、水たまりに波紋が広がるように魔素(マナ)が空気中に伝わり、玉座の間の壁際で集束する。


壁に沿うように集められた魔素が、黒に紫を混ぜたような、闇色の空間を形作った。縦長の楕円で形成された闇の光が、ざっと三十は越える数、出現する。


そしてその空間から、大量の人影がぞろぞろと溢れ出してきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ