糸目か細目の奴って大体黒幕②
「いやはや、これが若さというものかねぇ! キミらの仲良しこよしな旅路はずっと見ていたけれどー……あのねぇ、何か勘違いしてるんじゃないかい? 『コレ』は、僕らが召喚者に貸し与えたモノだよ? キミらの所有物じゃあない」
サンファは一しきり笑い終えた後、静かに佇んだままのディアナの顎を左手で掬い上げ、その所有権を示すように俺たちを流し見た。ディアナは、されるがままに無表情で従うばかりだ。
その、彼女のことを『物』として扱っているとしか思えない口ぶりに、俺とアイリスの頭にかあっと血が上る。
「アンタ……アタシたちの仲間を何だと思ってんのよ! その娘は――」
「生きている。人間だ、とでも言うのかい?」
続く言葉を言い当てられたアイリスが、思わず口を噤む。
そんな金髪の少女の様子を見たサンファは、呆れたように溜め息をついた。
「そっくりその言葉を返すがね、キミらの方こそ、響心魔装の何を知っているって言うのさ? コレは、私がトレイユの神位魔術師として考案し、設計を監修した魔導兵器だよ」
響心魔装のことなら誰よりも知っている。それこそ、その魔装本人が知らないことでさえも。
先ほどの高笑いしてのけた表情から一転、神妙な面持ちに変貌したサンファがそう呟く。その言い知れぬ威圧感に気圧された様子のアイリスに変わり、俺は一歩、クソイケメン魔術師に向けて歩み寄った。
「威張るな。その狡い手を使って、俺を不意打ちで襲わせたんだろ。いや、俺だけじゃない。今までの召喚者たちのことも、みんなそうして、罠に嵌めて来たんだろうが」
そう。召喚者に魔晶回収の旅をさせておき、その実、彼らの心素を奪うことこそが、スプリングロードゥナが言っていた、サンファの暗躍の実態だ。
勝手な都合で呼び付けただけに止まらず、その召喚者をも罠に嵌めて命を奪うとかいう、ヤ〇ザ顔負けの悪徳事業。召喚当初に口にしていた、魔晶回収の暁には地球に帰れる、という文句も嘘っぱちだったってわけだ。
拉致・強制労働に加えて詐欺まで罪状に追加だこの野郎!
その、黒を越えて漆黒どころか暗黒に達しているだろう腹黒さを指摘しているにもかかわらず、全ての元凶である魔術師は一切悪びれる素振りを見せない。
「……ま、今更隠すことでもないか。そうとも。魔晶の魔素が必要なのもそうだが、それはあくまで副産物。本命は、キミらチキュウ人の心素を頂くことだったんだよ」




