女王と魔術師⑥
「……は? 誰が、何だって? もう一度言ってくれるかい」
「は、はい。敵襲です。数は三人。一人はガランゾ国の女王、『天壌紅蓮』フレア。一人は魔術師と見られる金髪の少女。最後の一人が、サンファ様が召喚した少年です」
「はあぁ??」
「敵は転移魔法で王城門前に突如出現。主に天壌紅蓮による広範囲の火炎魔法で兵士を薙ぎ払い、城の内部を進んでいます。おそらくですが、目的地はこの玉座の間かと」
「……今、どのあたりの位置にいるのだ?」
「はっ。現在、一階から二階への階段上で、宮廷魔術師と兵士らの波状攻撃で進行を抑えています。しかし完全な停止とまではいかず、じわじわと押し進まれている状況です」
「…………」
「おい、サンファ。どうなってる? エーテルエンドで小僧の心核は回収したんだよな?」
「……ええ。おい、ディアセレナ」
「ここに」
「……確かに心結晶だ。それも相当な高純度だぞ。おいお前、その報告に間違いは無いのか? よく似た別の少年だったりはせんのか?」
「わ、私どももそう思い、少年に槍を貸した兵士や、魔晶を預かった小隊長にも確認させましたが……間違いありませんでした」
「おいおいおい、異常なガキだとは思っていたが、ここまで来ると笑えんぞ。魂を二個持っていたとでも言うのかよ……しかもお仲間のベロニカの小娘と、天壌紅蓮まで連れて突貫とは末恐ろしい」
「…………」
「い、いかがいたしますか?」
「おいサンファ。気持ちは分かるが呆けている場合じゃないぞ。今我々は敵襲を受けているんだ」
「……ええ、そうですね。とりあえず、王。天壌紅蓮をお願いしますね」
「……ん? んん!? わ、私があれを抑えるのか!?」
「こういうときのために訓練したでしょう。転移魔法で現れたということは、あの女王の魔素も相当量消費しているはず。宮廷魔術師と兵士の手も借りれば、天壌紅蓮といえども相手にするのは難しくないですよ」
「ぐ……この国のためには止むを得ない、か。お前はどうする?」
「王は天壌紅蓮を二人から引き離してください。その隙に私が彼らを畳んで、そちらに合流します。戦力差が開いている方が、すぐに済みますからね」
「分かった……よし、出るぞ! ダリアを呼べ!」
「はっ!」
「……さて、王が天壌紅蓮相手にどれだけ持つか……しかし、心核を抜いて生きているなんて、そんな馬鹿げた存在がいてたまるか……! ……いや、むしろこれは、越えるべき壁、とも言えるか」
「…………」
「今度こそ、お前の主の息の根を止めるぞ。ディアセレナ」
「……イエス、マイマスター」




