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魔晶個体には魔剣少女⑦

そんな意外な一面を見せたのも束の間、ディアセレナ――ディアナが、キッと目を引き締めて湖の方を睨んだ。鋭い視線の先には、俺が吹っ飛ばされて空いた大穴がある。


俺もつられて目を向け、唖然とした。


首長竜がいつの間にか姿を表している。

しかも、額の魔晶に魔素を溜め込んでいる最中じゃないか。


そこで気付く。先ほどディアナがカプセル機器から出てきたとき。カプセルが開いたときと床に接するときにそれなりに大きな音がした。アレで気付かれたのか。


油断した! クソッ、今から退避して間に合うか……!?


この状況では体の痛みなど気にしてはいられない。

未だ鈍痛を訴える下半身に鞭打ち、ディアナを連れて施設の階下を目指すべく、彼女の細腕に手を伸ばした瞬間。


「マスター」


焦る俺を、ディアナの落ち着いた口調が押しとどめた。

竜を睨んでいた深紅の瞳が、再び俺を照らし出す。


不思議だ。この目に見つめられると周囲の喧騒が遠くなる。


ディアナの声しか聞こえなくなる。


「時間がありません。私をお使いください」


「……ああ、わかった」


彼女の言葉の意味も分からないのに、俺は何故か即答していた。

妙な確信があった。


大丈夫だと。


ディアナが俺に体ごと向き直り、目を閉じた。


途端、彼女の体が『(ほど)ける』。


ディアナの銀髪が、細い指先が、その全身が。辺りに降りる夜の帳の如く、暗くもどこか透明感のある闇色の帯になる。


幾条もの帯と化した彼女は、一度そのまま頭上へ向かい、宙空でくるりと反転する。

そして、伸ばした俺の右手に集い、再び一つの形を成す。


それは、一振りの剣。

刀身から柄まで漆黒の、両刃の長剣が俺の右手に握られていた。


頭の中に、どこか遠いところから響いてくるかのように、ディアナの声がこだまする。


魔装形態(デバイスモード)夜剣(やけん)への変換を完了しました。マスター、急ぎ魔晶個体の攻撃への対処を行います』

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