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金・一・抗⑥

フレア様は速かった。


「おおっとぉ!? 問答無用ですか、まったく!」


サンファ、様に向かって槍を構えたかと思うと、光のような速度でその胴体目掛けて突進してきた。


流石に警戒していたらしく、サンファ、様がひらりと突撃を避ける。

しかし、避け切れなかった白ローブの裾が、槍を纏っていた焔に触れ、そこから小さな火が燃え広がり始めた。


アタシとサンファ、様との間に割り込む形で突っ込んできたフレア様は、裾に燃え移った火の粉に気を取られるサンファ、様に、迷宮(ダンジョン)の戦いで灯檻(レイルトーチ)と呼んでいた魔法で追撃する。


裾の火を踏み消すサンファ、様と、それを狙う熱光線を弾くディアナの姿が見えたあと、フレア様がアタシの顔を掴んで強引に鼻先に引き寄せた。黒曜石のナイフを思わせる双眸を、アタシは虚ろに見つめ返す。


「そら、さっさと起きろ」


「あたっ」


デコピンされた。


――その途端、視界と思考がはっきりくっきり鮮明なものに戻る。


「あ、アタシ……?」


唐突に取り戻した意識に目をパチクリさせるアタシに微笑みかけると、フレア様は背を向けてサンファ、様……ううん、サンファの方に向き直る。


「正気に戻ったか。あいつの話には耳を貸すな。心に留め置かず聞き流せ。会話から挙動まで、あらゆる動作に精神支配が潜んでいておかしくないからな」


「……ありがとうございます。もう、大丈夫です!」


「フ。そうでなくてはな」


思いっきり頬を叩いて気を取り直す。

フレア様の隣に並んで身構える。


フレア様が牽制で放った炎魔法を全て凌いだディアナの後ろで、サンファが面白くなさそうな笑みを浮かべていた。


「そんな簡単な刺激で解かれるとは。どうやら、私の精神操作魔法を()き切ったと言うのは本当のようですねぇ……とすれば、あの時ですね? ガランゾに入国する直前の、心素腫瘍を除去した」


……こいつ、そんなところまで覗いてたのね。


その問いにフレア様は答えなかったが、アタシもそうじゃないかとは思ってた。まあ、あのとき以外でフレア様に直接何かされたことは無かったし、そりゃそうよね。


心素腫瘍のついでに……いや、この場合は精神操作魔法がメインなのかな。どっちにしても、同時に二種類の魔法症状を外部からの干渉だけで除去するなんて、神位魔術師にしかできない神業だ。


フレア様が協力してくれたら、ディアナもきっと元に戻せるはず……!

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