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島の端っこって何か隠されてそう⑥

ディアナはと言うと、俺が今後もこちらの世界に来るかもしれない、と話した部分で、狐耳をピンと垂直に立てていた。表情にはそれほど明確に表してはいないが、喜んでくれている、のだと思う。


そんな話をしていると、未だ円陣形態を崩さない俺たちへ、サンファもまた屈み込んだままの姿勢で声をかけてきた。


「いやあ、それにしても本当に一ヶ月足らずで特異点全てを周りきるとはねぇ。王も、それはもう驚いていたよ。これも優秀なパートナーである、ディアセレナ君のお陰かな?」


「……そうだな」


ただの世間話か? 俺は少女二人と突き合わせていた額をサンファの方に向けた。一応、奴の放つ言葉の端々にまで気を付けつつ応答する。

相変わらず魔素(マナ)に動きは無い。何らかの魔法ではないようだ。


……だけど、何かが引っかかる。


背後の相棒も同様なのか、一瞬身を硬直させたのが分かった。だけど、その謎の違和感が何なのか、俺は思い至らない。


「「ディアセレナ」君のようなタイプの魔装(デバイス)なら、こういうことも出来るんだねぇ。君らの道程は、今後の魔導工房(デバイスファクトリー)運用を大きく変えてくるよ。魔晶個体撃破の威力を持つ武具種より、身体能力向上に重きを置いた装具種がメインになるかもね」


「……そうかもな」


「ユーハ君さえよければ、次の時期の魔晶回収もお願いしたいくらいだよ! ユーハ君と『ディアセレナ』君のコンビなら、これほど短期間で魔晶回収が完遂する、ってことが分かったんだしね!」


「……気が向いたらな」


俺を召喚した当時とやはり変わらぬ物腰のまま、サンファが言葉を紡ぎ続ける。改めて思ったが、やっぱりコイツ発言量が多いな。適当に相槌してるだけなのによく一人で話し続けられるよ。


本当に、暇つぶしゆえのただの世間話なのか、それともその内容に何かしらの意図が隠れているのか……確認するべく、サンファの言葉を脳内でリピート再生しようとした俺の肩を、アイリスが叩いた。


「ねぇ、言い間違い?」


「? なにが」


耳打ちされたその言葉が何を指しているのか分からなかった俺は、眉を顰めて問い返す。


「さっきからあの人、ディアセレナ、って……心技名じゃない」


「いや、ディアセレナっていうのは――っ!?」


ディアナの本名……そう答えようとした途端、先ほど抱いた違和感が何なのか理解する。

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