島の端っこって何か隠されてそう④
サンファは声高にそう告げると、魔導機器の、魔晶を覆っている透明なドーム部分を取り外した。そして自身の手で直接魔晶を掴む。
すると、物凄い勢いで魔晶から魔素が吸い上げられ、サンファの身体を通して魔導機器へと流し込まれていくではないか。以前スプリングロードゥナが言っていた、特異点迷宮の運用電源である魔晶を取り除かずに、魔素のみを回収するという技術と同じものだろう。
ほんの数分足らずで、マリーネで回収した魔晶の魔素全てを魔導機器に取り込み終えたサンファは、魔導機器を石壇の上に置き、その本体から小さな指輪を取り出した。
「それは……」
「これが魔晶全ての魔素を納めた媒体だよ。これを依代に世界再編と、君の帰還の魔法を発現するわけさ」
世界再編。
クソイケメン魔術師のその発言に、斜め後ろの相棒がピクリと身を強張らせたのが分かった。
……そう、俺も忘れたわけではない。第三の特異点、ガランゾで知らされたあの話を。
――トレイユの神位魔術師サンファは、世界崩壊を防ぐ旅の陰で、何かを企んでいる。
スプリングロードゥナが俺たち三人に協力を持ち掛けてきた根拠。その真偽は知れないが、彼女の人となりは、その話が真実だと信じるに値するものだったと俺は思っている……目の前の魔術師の物腰が何より胡散臭いっていうせいもあるけど。
女王の話では、その悪だくみにディアナも――ヤツが設計した響心魔装も、間違いなく関わっている、っていうことだったが、今のところサンファの行動に、ディアナに何かしら影響するような様子は見られない。
何らかの魔法をこっそり使おうとしていたとしても、俺の目なら分かるはずだ。
コイツと再会したその瞬間からずっと気を付けているが……その身に普段から漂わせていると思われる胡散臭さ以外に、怪しいところは無い、みたいだ。
それなら、俺の取る行動は一つ。
「……じゃあ、さっさと帰らせてくれ。俺と、この二人も一緒に」
「うん? 君ら全員でかい? まあいいけど、疲れるんだよねぇー人数が多いと」
果たしてこの世界の住人であるディアナとアイリスも世界移動が出来るのかどうか。その可否に内心ドキドキしていた俺を、間の抜けた返答であっさりと返すサンファ。めんどくさそうな表情を前面に出た渋々と言った顔にイラっとする。
そんなレベルのことなのかよ! ……仮にもこいつが神位魔術師だからだろうか。
いやよく考えてみれば、俺の前任の召喚者が確か子連れだって話だったっけ……じゃあ、複数人での世界移動自体は、一応前例があるのか。
強引に納得し、内心のイライラを懸命に抑え込む俺を余所に、サンファが魔法陣内部まで移動するよう指示してくる。




