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異世界人ってみんな優秀なの?⑤

「……なん、だよ。コレ」


外壁を抜け、マリーネ国内に足を踏み入れた俺は、目に飛び込んできた光景を見てそう漏らさずにいられなかった。


ディアナもアイリスも、同じように言葉を失っている。


何故なら、マリーネの建物という建物が半壊していたからだ。


先ほど、外壁の検問に到着した俺たちは、そこに居るはずの門兵の姿が見えないことに首を傾げた。

休憩中かもしれないということで、少し待ってみようかとも思ったが、それなら交代の兵士が詰めていなければおかしい。


辺りの様子を窺うと、外壁もまたボロボロだった。遠目には分からなかったが、石造りの壁は、風化というにはあまりに不規則な崩れ方をしており、何かがあったことが明白だった。


俺たちは頷き合い、無人の検問所を駆け足で通り抜け、マリーネに突入した。

悪いとは思ったが、緊急事態なら許してほしい。


そして、目の前に広がる、あらゆる家屋の壊滅的な様子に、絶句していたというわけだ。


「一体何があったんだ……!?」


マリーネの一般家屋は主に石材で出来ているようで、検問を出たところから伸びる街道に沿い、均一的な造りの家がずらりと並んでいる。


一見しただけではどの家も全く同じに見えるが、今は屋根が崩れ落ちたり、壁材が壊れて内部がむき出しになっていたりと異なる崩れ方をしていて、常の画一的な様子は無くなっているようだった。


魔物の襲撃か何かを受けたのだろうか。


検問所に人がいなかったことから、街中にも誰一人いない……襲われたり、崩れた家屋の下敷きになっているのでは、という可能性を思い浮かべる。


が、意外にも住民は普通に街道を行き来していた。


普段ならば整備され異物など無いであろう街道に、崩れ落ちた家の破片なんかが転がっているにもかかわらず、道行く住民たちは皆、事もなげにスタスタと歩いている。


中には、半壊した建物から普通に出てくる人の姿もあった。屋根の半分ほどが崩れ、残り半分もいつ落ちてもおかしくないように見える家なのに、どうやらそのまま生活しているらしい。


人々は全員、まるでこの光景が日常だとでも言わんばかりの無表情だ。

何も気にしていないように見える。


崩れ方を見るに、ごく最近こうなった筈なんだけど……半壊した建物の中には、パラパラと瓦礫が零れている家もあるし、外壁に穿たれた穴を撫でると、さらに崩れてしまう。穴が空いて間もない証拠だ。


「どういうこと、なのでしょう……」


「わかんないけど……とりあえず王様のところに行った方が良いんじゃない?」


「そう、だな」


荒廃した街を意にも介さぬ様子で行きかう人々。


そのギャップに面食らいながら、俺たちは街道の奥に見える城へと向かった。

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