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いよいよチケット販売会社以外に止められない⑦

「今()ったようです、フレア様」


「そうか。攻略期開始の翌日に国を去ったのは、あいつらが初めてかもしれんな」


「よろしかったのですか? 本来であれば、魔装(デバイス)ディアナを引き込み、記憶と構造術式を調べる予定だったのでは」


「まぁな。昨日の二重契約を見るに、あの娘はおそらく『月の魔道工房(ムーンファクトリー)』の変人どもの最新作だろうから、狐の思惑は覗けずとも、最新の構造術式くらいは取り込めたろうが……」


「……最後の心技ですか、やはり」


「フ、分かるか?」


「手心を加えていたとはいえ、我々のソウルドライブを打ち破るほどです。物理戦闘であれば、心魂奏者など相手にもならないでしょうが……しかし」


「なに、それだけじゃないさ」


「と、申しますと?」


「お前も分かってるだろうに。『アイドルのライブに行く』とか言う、小僧の目的だよ。珍妙な目的ではあるが、その約束があの三人を強固に繋げている」


「その強固な意志が、心魂奏者の企みを砕く、と?」


「さてな。それは分からん……だが、期待させるだけの心意気はあった、ということさ」


「そうなればいいのですが……ところで、もしやとは思いますが、彼の言っていたあいどるとは、あの方の」


「娘だろうなあ。妙な縁があるものだ。気になるのか?」


「ええ、少しだけ。私どものような、魔装の心も大きく動かす、あいどるとはどんな存在なのか」


「ディアナの様子だと、相当入れ込んでいるようだがな」


「……私にもそれだけの何かがあれば、もしかしたら」


「それ以上は止せ。必要以上に自身を責めすぎるな、と、あの日から何度も言っているだろうに」


「ですが」


「お前のせいじゃない! ……忘れろ、とまでは言わん。だがな、過度な自責はお前の(マスター)も望んでいない。そうだろう?」


「……はい」


「分かればいい……それよりも、ひょっとしたらあの三人の珍妙な結束が、サンファを下すかも、とでも想像してみろ。あの軽薄でへらへらした優男が引き攣っているところを」


「そ、それは、何と申しますか」


「笑えるだろう?」


「いえ、それは……ふふ、ええ。確かに、可笑(おか)しいかもしれません」


「な? あの胡散臭い笑顔が曇るかもしれん。言い方はまあ、アレだが、私たちもそのために動くとしようじゃないか」


「はい。フレア様……ありがとうございます。マイロード」

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