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まるでゲームマスターが介入してくるような⑤

「……響心魔装(シンクロ・デバイス)は設計・生産から『心魂奏者』が携わっているものです。そしてそれらが始まったのは、貴方たち召喚者を呼び招き魔晶を回収させる、世界崩壊の収束システムを彼が世に訴えたのとほぼ同時期。彼の暗躍に響心魔装が関わっていない筈は、無い」


そう(こぼ)すグゥイの表情は、それまでの凛とした佇まいと異なりどこか陰のあるものだったが、内容は正しくディアナへの疑いを現していた。


「その魔装(デバイス)が自覚していなくても、深層心理に術式が刻まれ、意図せずして彼の指令を遂行していることも考えられます。お二人の知らないところで」


「それゆえの昨日の提案というわけだ。サンファを疑い、奴を警戒している我々だからこそ、奴の生み出した響心魔装を預かるという結論を出せる。これはサンファが暗躍する目的を知るためでもあるが、同時に……お前たち召喚者のためでもあるんだ」


『…………』


眼前の女性二人の発する言葉一つ一つが、今なお無言の相棒を刺し貫いているのが分かる。


俺の身を覆う月神舞踏(ディアナアーツ)であるからこそ、目には見えない心の繋がりが強いこの姿だからこそ、ディアナの動揺と戸惑いが俺にもダイレクトで伝わってくるのだ。


心が大きく揺れ、揺さぶられ、ごちゃごちゃにかき乱されて――


「っ!」


「――あ」


その興奮と混乱は、俺とディアナとの響心(シンクロ)率を下げ、月神舞踏状態を解除たらしめるに充分すぎるものだった。


「マス、ター」


覚束ない視線で俺を見上げる銀白の少女は、この場にいる誰よりも小さな身をその腕にかき抱き、震えていた。


少しでも体を小さくしようとしているかのように。

いっそこの場から消えてしまえと言わんばかりに。


俺も、アイリスも、頭の中では分かっていた。

ディアナはそんな、世界を不安に陥れるようなことはしないと。そんな思惑を抱く奴の手先なんかじゃないと。


それなのに、そのことを言葉に出来なかった。『そうかもしれない』という不安を、誰よりもディアナ自身が疑って……恐れている様子だったから。


『そんなことない』と言うのは簡単だ。

だけど、『そうかもしれない』と己を疑う心は、そんな簡単な言葉一つで拭いきれるものじゃない。ディアナのように、生真面目な性分なら、尚更に。


「改めて問おう、ユーハ。その響心魔装、ディアナを、我々に引き渡してくれないか」


「ふぅー……なぁ、ディアナ」


俺の問いかけに、ディアナの小さな体がびくりと硬直する。


今俺が慰めの言葉を、相棒の抱く不安を否定することを口にしたとしても、彼女はきっと納得しないだろう。むしろ、もっと自分自身を追い込んでしまうかもしれない。


さっきの話の真偽を問いただすのは論外だ。


だから、俺は敢えてフレア王とグゥイの方を見つめたまま、ディアナへこう言葉を続けた。


「この旅が終わった後、何がしたい?」

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