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地下迷宮のショートカットはこうする①

ガランゾに入国した、翌日の朝。


俺、ディアナ、アイリスの三人は、王城がある最上階層から一段下の層にあると聞いた、特異点迷宮(ダンジョン)の入口へと向かっていた。王城前の幅広い階段を、早足で黙々と下りる。


昨日は王城内の客室で一夜を過ごし、今朝早く城を後にした。

王城から迷宮の入口がある建物へは、徒歩で五分もしない位置にあるらしいが、別室で休んでいたディアナとアイリスの準備も済んでいるようだったし、早々に城を出てきたのだ。ちなみに、女王へは顔も見せていない。


昨日、あんな失礼なことを抜かしてきた奴に合わせる顔なんてあるもんか。


後ろをついてくる二人の女子には見えないのを良いことに、胸中で女王へと悪態を衝く。


今日のうちに魔晶を回収し、ガランゾを出国する腹積もりでいるくらいだ。

昨日グゥイから受けた説明の通りなら、昨日考えた方法が有効な筈。他の冒険者連中には悪いが、ボスモンスターなんかも全部スルーしてしまおう。


「アレがそうか……」


階段を下りきり、右折した少し先のところに、地球の外国にありそうな神殿を思わせる外観の建物があった。横に掲げられている看板には、『迷宮入口』とでも書かれているのだろう。読めないけど。


建物へ向かって歩みを変えると、同じ方向へ向かって、多くの人の姿が俺たちを追い越していった。

別に俺たち三人の歩く速度が遅いわけではない。追い越していった人々の歩幅が大きいのだ。


それもそのはず、彼らが冒険者なのだろう。追い越された故に後ろ姿しか見えないが、筋骨隆々とした屈強な背中を持つ戦士や、身に帯びる魔力がアイリスに匹敵するほどの魔術師の姿が数多く確認できる。

修羅場をくぐった人々の、新たな冒険へと向かう歩幅は、不思議と納得できるほどに大きいのだ。


「おっはよーございまーす☆ ……って、返事も無し? ねぇ、アタシたちって、舐められてない?」


「かもなぁ」


アイリスが、外向けのアイドルスマイルから一転、不服そうに漏らした声に同意する。

心なしか、いや、俺たちを追い越した人々の何人かは間違いなく、『迷宮の恐ろしさを知らない初心者』を見下した視線で流し見ていた。


「ま、ほっとこう。どうせ協力なんかしないんだから」


「あー、アンタ、本気なのね。上手くいけばいいけど」


「上手くいくまで続けるのさ」


ディアナとアイリスには、当然、事前に手順を説明してある。その通りに事が運べば、格下に見られようが何だろうが関係無い。こっちも魔晶以外には用は無いんだしな。


……さて。迷宮攻略に当たって、気になることが無いわけでは、実はない。


ディアナだ。


「…………」


城を出る前に手順を説明した時から、ここに到着するまでの間、一言も言葉を発していない。

一見いつも通りの冷静沈着な表情に見えるが、微妙に影のある面持ちをしている。最近ようやく分かるようになった。


……何かあったんだろうか。

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