女王というより姉御⑥
フレア王の一言に従い、すらすらと説明を引き継ぐグゥイ。事前に打ち合わせでもしてたの? と思わせるほどに言外の意思疎通が取れている。グゥイはおそらくフレア王の右腕というか、腹心の部下なのだろうが、余程お互いのことを知らねばここまでの連携は取れないだろう。
その関係は、俺とディアナの関係の延長にあるようにも思えるな……そんなことを考えつつも、説明内容を聞き漏らさないよう、耳を傾ける。
「『攻略期』とはその名の通り、迷宮内部に冒険者が足を踏み込み、各階層を攻略していく期間のことです。もう一方の『復元期』とは、攻略期後に訪れる期間のことで、攻略期に討伐された魔物や、迷宮内部の破損などが、この間に回復・再生します」
「さ、再生!? ここの特異点って再生するんですか!?」
アイリスが思わず頓狂な声を上げた。声には出さなかったものの、俺も驚いた。
これまでの特異点では、魔晶をその身に回収した魔物、魔晶個体が存在し、そいつらの生物としての能力を強化するために魔晶の魔素が使われていた。二度もそれが続いたから、どうせここの魔晶も厄介な魔晶個体が持ってるんだろうな、と高をくくっていいたのだ。
しかしガランゾでは、おそらく魔晶個体が存在しない。その代わりに、特異点たる迷宮の構築及び復元のリソースとして、魔晶の魔素が使用されるということなのだろう。
アイリスの発言に、「します」とだけ冷静に回答したグゥイは、何事もなかったかのように淡々と説明を再開した。
「攻略期の終わりには明確なタイミングはありません。予測ではありますが、迷宮内の全ての魔物を倒した瞬間が引き金になり、そのことを察知した魔晶が再生・復元のための魔素を回収に入る、といった仕組みと思われます。
魔素は、このガランゾ国内を主な範囲に、範囲内の生命体や自然から回収されます。その時回収された魔素の多寡により、復元される迷宮の構造も変化します。当然、回収される魔素が多いほど迷宮内の階層や魔物の数は増え、一層ごとの複雑さや難易度も上がります。
復元期終了後の迷宮は、おおよそ五〇層前後で形成されます。一層の攻略に平均三日から五日ほどかかり、最終階層では一月要することもあります。半年ほどで攻略が完了、復元期に入るものと考えて頂いてよいでしょう。
対して、復元期にはさほど日数がかからず、七日ほどで迷宮は元の姿を取り戻します」




