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女王というより姉御①

ガランゾの統治者……女王だと名乗る女性、フレアに続いて森の中を行くこと数時間。


緩やかな山脈の側面に貼り付いているような、集合住宅からせり出しているベランダ群のような、ガランゾ国の外観が見えてきた。


日本の田園風景、棚田を思わせる構造の国だ。入口と見られる麓の門から始まって、山の頂上に向かって国が広がっている。一番上にあるのは城のように見えるが、アレがこの国の王城だろうか。


横幅はさほど大きくなく、全体の広さはトレイユと同じくらいか。ベロニカほど広大な面積は無いようだ……あれ、この国の特異点は国内にあるって話だったはずだが、どこにあんだろ。


一見したところ見えるのは、大小様々に乱立している住宅群と上下左右に伸びる階段と街道くらいで、魔素(マナ)が溜まるような場所……特異点らしき場所は見当たらない。


まあ、そのところはこの女王が知っているのだろうけども。


黙々と前を行く女王フレアは、その長身ゆえか歩幅が大きく、なかなか女性らしくない豪快な歩みでどんどん先へ進んでいる。アイリスはともかく、小柄なディアナなどはやや小走り気味で付いて行っているほどだ。


そんなペースのおかげと、彼女と出会うまでの道のりも急いでいた甲斐あってか、俺たちは予想していた日数よりずっと早く、第三の特異点管理国へ辿り着いたのだった。


門の前に、槍を携えた兵士が二人詰めているのが見えてきた。こちらに気付いた様子の彼らに、女王が手を上げて応じる。


「フレア様、お帰りなさいませ!」


「ああ、カッシュ。ご苦労だな」


「今回は時間通りにお帰りになられたようで安心しましたよ。先月は十日もフラフラされて、皆心配したのですから」


「おいキルナー、私を子供か何かと勘違いしてるんじゃないのか? これでも女王だぞ、女王」


「ははは、それは重々承知しておりますとも――ところで、彼らは新しい『冒険者』ですかな?」


二、三談笑したのち、彼らは言葉の方向を俺たち三人へと向けた。


冒険者? 何のことだろうか。召喚者の聞き間違いかな。

ディアナを見ると、俺の意を察したようで説明してくれた。


「冒険者とは、ガランゾ内に存在する特異点、通称『迷宮(ダンジョン)』に挑み、それを生業とする人たちの総称です。この国には一獲千金と迷宮攻略の刺激を求めて、国外から来訪者が来ることが多いそうなので、私たちもそうではないかと判断したのでしょう」

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